2011/09/14

猛吹雪という名の宇宙往還機。

しばらく前に、とあるオークションサイトにアメリカの宇宙開発グッズが大量に出品されたんです。

RR Auction: Browse Gallery :Space & Aviation

その中に大気圏再突入時にオービターの機体を保護する耐熱タイルがあったの。でも「このアイテムに入札できるのはアメリカ国籍をお持ちの方だけです」って言われちゃった。たしか最終的にUS $300ちょっと超えたと思う。

で。
旧ソ連にBuran(ぶらん)という、通称ソ連版スペースシャトル、つまりは宇宙往還機計画がありまして、こちらはタイミングがソ連崩壊と重なってしまったために計画そのものがなんだかうやむやになってしまったかわいそうな宇宙機。
今はドイツのシュパイアー技術博物館に実機が展示されてます。

Spaceshuttle BURAN

Buran on Rhine 9

…なんだかシュールな画。どんぶらこっことライン川を下って運ばれてきた。
前置きが長くなりましたが、そのBuranの激レアグッズがeBayに出品されてるのです!

SPACE SHUTTLE BURAN HEAT SHIELD THERMAL BLACK TILE

Buranがアメリカのスペースシャトルと同じようなThermal Protection System(耐熱保護システム)で設計されているならば、おそらくタイルの材質やら製法も似たようなもののはず。スペースシャトルの機体下面、黒い部分に使われているのは発泡成形された表面を"Reaction Cured Glass"=釉薬(うわぐすり)状に改質された酸化ホウ素ケイ素ガラス(パイレックス等、熱膨張率が低い耐熱ガラス)で1,260℃程度まで耐えられる。なおかつ非常に軽量で1m^3あたり140kgしかない。つまり水に浮く。
以上Wikipedia(英語版)情報。
表面を改質させるのはアブレーション冷却(材質自体が固体 -> 液体 -> 気体になることによって断熱、融解熱や気化潜熱で内部を守る)のためかな?

はい、その逸品が約6千円でございます。
買う?

この手のものに興味がない女子に話してみたら「…買ってどうすんの?」と聞かれたが、そりゃ飾っとくだろうよ。模型とか飾るだけで直接何かの役に立たないものはいろいろある。

以下オマケ。

打ち上げと大気圏再突入のとき宇宙飛行士が着用する与圧服。

RUSSIAN SPACESUIT STRIZH BURAN SPACE SHUTTLE RARE!!!!

なんだこれ?aileron(エルロン)=補助翼?主翼に付いてる可動翼の一部みたいです。

Buran Space Shuttle Large Aileron Rare
デルタ翼機など、構造上水平尾翼のない飛行機では、主翼にエレベーターとエルロン(aileron)の機能を兼ね備えたエレボン(elevon)と呼ばれる動翼を有する。
なるほど。
で、なんでこんなもんがカナダにあるんだ?

さらにオマケ。
こちらはアメリカのSpace Shuttle Main Engineのノズルのみ。

GENUINE ROCKET NOZZLE USED IN THE U.S. SPACE SHUTTLE PROGRAM MADE BY ROCKETDYNE

Rocketdyne社製のテスト機?エンジニアリングサンプル?青いペンキで何か書いてある。非売品とかそういう意味合いに見えるんですが。。。

ちなみにBuranをスペースシャトルのパクリとか言うのは実に的外れで、この有翼の宇宙往還機というアイディアは、フォン・ブラウンの師匠としてもおなじみヘルマン・オーベルトのドイツ宇宙旅行協会に在籍していたオイゲン・ゼンガーによるものらしい。
90年代にはESA(フランスが率いるヨーロッパ宇宙機関)にエルメス、日本の宇宙開発事業団(NASDA)と航空宇宙技術研究所(NAL)(当時、いずれも現JAXAに統合)のHOPEというパッと見で似たような計画はあったようです。どちらも残念ながら技術的な困難と資金難で実現しなかったけどね。

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