2012/02/22

宇宙メガンテ?

各種周回軌道上のゴミ、スペースデブリを捕まえて大気圏に再突入させるスイス発の人工衛星案。

Cleaning up Earth's orbit: A Swiss satellite tackles space debris

動画で一目瞭然。
おそらく技術的には可能だと思うがコストがどうか…。



スペースデブリ space debris
静止軌道(GSO)みたいに傾斜角や高度が一意に決まる軌道ならともかく、似たような高度を傾斜角だけ違う軌道が交差してたりするとぶつかって壊れて、また新たなデブリまき散らしてしまう。なにしろ対地相対速度で2.8万kmだ。

太陽活動の活発化で宇宙ゴミが減少?

…自然に落ちるの待ってるわけにもいかないし。落ちるより増えるペースの方が早いもの。

2012/02/21

大中華双子座計画。

NASAにおけるジェミニ計画あたりまできましたね。

中国、夏に有人宇宙船打ち上げ…ドッキング実験

天宮国際宇宙ステーションにおけるZaryaZvezdaに、神舟Soyuzに相当すると思えばおおむね合ってるかな。どちらも中国の完全オリジナルではなくて一部ロシアの設計を踏襲している。

んでまたこれを上げる長征2ロケットのキメラ感が…おっと、これはまた別の機会に。

2012/02/14

H-IIA F21は夜の打ち上げだ!たぶん。

文系宇宙工学研究所の金木犀さんが「しずく」、なんだかとっても夜打ちの気がするよ?とtweetしてるのを見かけて、ちょっと考えてみた。

H-IIAロケット21号機による第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)および韓国多目的実用衛星3号機(KOMPSAT-3)等の打上げ計画概要

この資料をどう読んだら打ち上げ時刻が夜間と推定できるのか。
ポイントは二点。

1.軌道傾斜角 98.2度
2.昇交点通過地方太陽時 13時30分

これだ。

軌道傾斜角98.2度ということは種子島から南向きに飛ばして南極を回って地球の反対側をタテに通って北極を経て戻ってきたときには少し西へずれてる。(周回するたびにずれていって、約46日で約669周して同じところに戻ってくる…のか?こないだ運用を終了した赤外線天文衛星「あかり」も陸域観測技術衛星「だいち」も大体このあたりの同じような太陽同期準回帰軌道を回ってたみたい。)

昇交点は、黄道(太陽の見かけの通り道≒地軸の傾きを無視すれば地球の公転軌道=太陽系の地平線?)を衛星が昇るとき(相対的な位置関係としては月の出?)の現地時刻だから、日本から南に向かって打ち上げる直後に通る降交点から12時間ほど時差がある計算になる。つまり、地球の反対側、西経135度ぐらいのところを現地時刻で13時半に昇ってくるということは、逆算してその約12時間前に南へ降りて行く少し前の時刻に種子島から打ち上げる計算になる。

…わかる?
っていうか合ってる?

European Advanced Vector Generation.

イタリアの新作VEGA(=Vettore Europeo di Generazione Avanzata)ロケットが初飛行に成功したようです。



イタリアの、って書いたけど開発主導がAgenzia Spaziale Italiana = Italian Space Agencyということであって、実際の運用はESAとアリアンスペース社。フランス領ギアナ宇宙センターから、例のフランス語で緊張感のないカウントダウン。
この規模のロケットとしては離昇が若干遅い印象は受けるものの順調に飛んでった。さすがイタリアだけあって(?)事前に用意してある飛行イメージCGがカッコイイ。

1〜3段目は固体推進剤、最上段の4段目がヒドラジンの液体推進剤。1段目は次期Ariane 5のSRB(固体推進剤ブースター)としても利用される予定。

計画の背景や規模を考えると、日本で言うところのJ-I(NASDA)とかΜ(ミュー)系(ISAS)みたいな位置付け?ISAS系の次期固体ロケット、イプシロンの初号機を上げるときは内之浦まで見に行かねば。

2012/02/06

Going to the Moon, as an adventure.

誰かの芸がもう いま君のものでも
それを嫌えば僕らだって矛盾してくる。

“115億円の月旅行” 1人購入

売れちゃった。
さて、じゃあプロトン(ロケット)とソユーズ(宇宙船)改造して人を月周回軌道までぶん投げるアトラクションでっち上げなきゃいけないゾ。



Space Adventures : Lunar Mission
Space Adventures - the only company to have sent private citizens to space
ロードブリティッシュがソユーズでISS行って帰ってきたのも、この会社が斡旋してたのかな。

アポロ計画のころソ連が無人試験飛行をくり返してたSoyuz L1(ソユーズ・エル・アディン)の再利用みたいです。地球周回軌道から遷移軌道を経て月を周って帰ってくるだけ。月面着陸はナシ。
この計画での大きな収穫は「人間は20G(地上の20倍の重力加速度)がかかっても死なない」ということだな。結果的に人体実験のようなことになってしまったわけだが。

オマケ。
当時もの。

Original Soviet Russian Berkut (Golden Eagle) spacesuit, circa 1960s. RARE

1965年にソ連のアレクセイ・レオノフが人類史上初のEVA = extravehicular activity(船外活動)を行なったときに着用していたものと同じタイプ、わずか8着しか作られなかったオリジナルのうちの一点だそうです。日本円にして約400万円。支払い方法はPayPal不可、要相談。

2012/02/01

ヒヤリハット案件。

あわや北京を直撃だった 昨年10月落下のドイツ衛星

Fly Me to the Orbit!: 落ちてくる日常。で言及したドイツのX線観測衛星が、もうちょっとでインド洋を通りすぎて北京に落ちるところでした、という話。

大気圏再突入直前のROSATの軌道要素は以下の通り。

2011年10月22日(土)22:54:52(協定時)
Eccentricity(離心率): 0.0003875
Inclination(軌道傾斜角): 52.9649°
Perigee height(近地点高度): 137 km
Apogee height(遠地点高度): 142 km
Right Ascension of ascending node(昇交点赤経): 145.045°
Argument of perigee(近地点離角): 266.7349°
Revolutions per day(一日あたりの周回数): 16.49742883
Mean anomaly at epoch(平均近点角): 93.8309°
Orbit number at epoch(周回数): 19460

この件について知人と話す機会があったので。

「こんなにしょっちゅう落ちてくるもの?昔から?」

ええ、昔からなんです。ただ、数年前の食品異物混入みたいに社会の関心事になると一般の商業マスメディアが取り上げるから、頻度が増すように感じるのかもね。