2013/08/29

8月27日はイプシロン記念日。

皆様ご存知の通りイプシロンロケット初号機試験飛行はリフトオフ19秒前にエマスト(emergency stop)がかかりました。
多くの専門家が指摘しているように、これは失敗ではありません。ロケット自身が自律的に各種情報を確認し、問題を検知し、事前に予定された安全な手順でカウントダウンを止めたのです。そしてより詳細に人間が点検整備できるよう、半ば自律的に安全な状態まで復帰しました。

鳴潮 8月28日付 - 徳島新聞社
道のない荒野を行く人たちをなじるのは不見識というものだろう。
その通り。
H-IIA/Bの制御ソフトウェア(アビオニクス?)にはN-Iロケットのベースとなったデルタ(アメリカ)のものが残っているらしい、などとまことしやかにささやかれる世界。イプシロンの革新は機体そのものでも推進系でもなくまさに制御系にある。
むしろ今回のエマストはロケット自身が異常を見つけたら「正常に止まる」ことを証明してみせた最初の成功と言ってもいい。

日本の宇宙開発が他国と大きく異なるのは事実上防衛予算を投入できない、言ってみれば「潔癖な組織」で行われているところ。

そして過去にはリフトオフ18秒前に中止、延期になった例がある。

果断の緊急停止 | 日本の宇宙開発の歴史 | ISAS

これだけじゃ物足りないあなたへ、内之浦のΜ(ミュー)ランチャー旋回動画。これはイプシロン用に改修される前の映像ですが、垂直打ち上げ以外の基本的な構造は変わってない。

2013/07/22

宇宙への道は険しかった。。。

イプシロンロケット打ち上げに係る一般見学について

   ↓ ↓ ↓

宮原一般見学場の抽選結果について
・応募総数:9,469件
(中略)
 駐車台数:約350台(抽選)
はい外れましたー。
初物だし夏休みだしおとなしくNVSのUStreamででも見よう。

イプシロン見学場申し込み27倍 肝付町

27倍という数字で、とある高校の入試を思い出した。
一次試験合格発表の掲示板を見たら

21
57
102
...

こんな感じで何の数字なんだかしばらく考えちゃう。
現場に多数の受験票が破り捨ててありましたよ。馬券か!

100億円の損失。

いささか旧聞ですが。
ロシアのプロトンMロケットが離昇直後に制御不能に陥り墜落。ペイロードはロシア版GPSであるところのGLONASSを3機!



通常、ロケットには異常が発生した場合にCommand Destruction(指令破壊=安全に自爆)するFTS(=Flight Termination System)が機能しているが、リフトオフ直後は射点に近すぎるため指令破壊できないんですって。

もともとICBMとして開発された機体の転用なので、環境うんぬんよりも即応性=長期保存性を重視して推進剤は非対称ジメチルヒドラジン、酸化剤は四酸化二窒素の組み合わせ。これがどちらも結構な毒!現場近くは大規模な除染作業が必要だそうです。

事故原因は慣性誘導装置の部品の一部が誤って逆さまに取り付けられていた可能性?

2013/06/02

宇宙への道は険しい。

種子島宇宙センターで作って島間港から内之浦港へ船で運んできた。

ロケット搭載の大型車両が故障、国道で立ち往生 鹿児島

国道448号線って内之浦惑星ロードだ。
港(海抜ゼロ)から約5kmかけて標高300mほど登る。去年の11月に徒歩で登って汗だくになったオモイデ。

「イプシロン」輸送中の車両が故障

かなり惜しいとこまで登ってる!
ニュースでトレーラーと呼ばれているのは多分トランスポータのことでしょう。

ISAS | 第11回:運用と施設設備(3)射場整備作業と射場点検取扱設備 / イプシロンロケットが拓く新しい世界

現場は交通量そんなにないのでそっとしておくのが安全でしょうね。充填されてる固体推進剤も、火薬みたいに爆発するようなものじゃないし。どうせならもっと広いところ(新道)で止まってくれれば、といっても機械はそんな人間の都合を考えてくれねえ。

2013/05/16

Space Oddity 2013.

カナダ人宇宙飛行士Col.Chris HadfieldによるDavid Bowieのカヴァー。International Space Stationにて収録。



こちら原曲ではMajor Tom(トム少佐)だがChrisはColonel(大佐)



歌詞がいくつか変えてありますね。
原曲では眼前の「宇宙」に圧倒されて、そして己の無力さに何もかもどうでもよくなってしまう、そこへ電気系統のトラブルで…
というのが、やるべきことをすべて終えて無事に帰還するハッピーエンドにアレンジされてます。。。

Ground control to major Tom
Ground control to major Tom
Lock your Soyuz hatch and put your helmet on
(Ten) Ground control (Nine) to major Tom (Eight)
(Seven, six) Commencing countdown (Five), engines on (Four)
(Three, two) Detouch from station (One) and may gods (Blastoff) love be with you

This is ground control to major Tom, you've really made the grade
And the papers want to know whose shirts you wear
Now it's time to guide the capsule if you dare

This is major Tom to ground control, I've left for evermore
And I'm floating in a most peculiar way
And the stars look very different today
Here am I sitting in a tin can far above the world
Planet Earth is blue and there's nothing I left to do

Though I'm flawn one hundred thousand miles, I'm feeling very still
And before too long I know it's time to go
a commander comes down back to erath


Ground control to major Tom, the time is near, there's not too long
Can you hear me, major Tom?
Can you hear me, major Tom?
Can you hear me, major Tom?
Can you...
Here am I floating in my tin can ( ? ? ? ) the world
Planet Earth is blue and there's nothing left do

サラ・ブライトマンと岩城滉一がそれぞれ月と弾道軌道めざすならデヴィッド・ボウイが火星めざさない理由がない。

2013/02/03

2013年、有猿宇宙飛行。

高度120km以上?

イラン サル乗せたロケット打ち上げ

イラン、サル搭乗ロケット打ち上げ 米「深刻な懸念」

まあ第一宇宙速度が出てれば周回軌道に到達したとは言えるか。
ローンチビークルはLEOに27-50kgのペイロードを投入する能力のあるピーシュガームでしょうか。
ピーシュガームはサファールとともにシャハブB(弾道ミサイル)から派生したロケットで、ベースは北朝鮮のノドンとみられているそうです。つまり推進系はエジプトのスカッド-Bベースで推進剤は非対称時メチルヒドラジン+抑制赤煙硝酸。
こないだ打ち上げられた北朝鮮の銀河3のアヴィオニクスはイランの技術ではないかと報じられていた…ということは、イランと北朝鮮は、それぞれ持ってる制御系・推進系の技術を交換してるってことかな。



完全に弾道ミサイルですわ。人間が乗れるサイズじゃないし、乗ってたら確実に死ぬか気絶しそうな加速度で景気よく上がってく。

…よかったね!

40秒の命。

Sea LaunchのZenit-3SLが落ちました。
リフトオフから約40秒後にメインエンジン停止、そのまま海上へ落下。

Sea Launch Experiences a Launch Failure on Intelsat 27 Mission

まずSea LaunchとZenit-3SLの復習から。
通常ロケットは地上から打ち上げます。その場合、地理的(あるいは気候・気象的)な制約を受けることが多い。Sea Launchは射場設備一式まるごと移動できる司令船"Commander"と石油プラットフォームを改造した"Odyssey"からなる。カリフォルニアから赤道直下まで南下すれば、通信衛星など対地同期軌道(静止軌道)へ投入するペイロードならかなり有利な条件で発射できる。

打ち上げるロケットZenitは、もともとBuranを載せることもできるエネルギアロケットの補助ブースターとして設計されたケロシン+液体酸素のロケットエンジンを、単独でロケットとして打ち上げられるように発展させたもの。
そのファミリーの中でSea Launch用に最適化したのがZenit-3SLだそうです。

ゼニート3SL、インテルサット27の打ち上げに失敗



さて。
ペイロードは静止軌道に投入するIntelsat 27(通信衛星)だから東へ向かって打ったはずが、どうやら南へ飛んでっちゃったと。トラジェクトリ(予定される飛行経路)を大きく外れたため、自律的に燃焼停止?(推進系に問題が発生したら圧力異常が生じて爆発する)、この時点で通常は指令破壊(地上管制から破壊コマンド送信 -> 自爆)するところ、安全に破壊するには高度が足りなかったためそのまま落とした、ということなのかも。
あるいは、ロシア系ロケットは破壊せずにそのまま落とすのが正常な破壊手順ではないかという指摘も。

この数年、ロシアはISS補給機のПрогресс=Progressや通信衛星Меридиан=Meridian(Молния=Molniyaの置き換え)、さらには火星探査機Фобос-Грунт=Phobos-Gruntなど失敗続き。

でもまあSeaLaunchはアメリカ、ロシア、ウクライナ、ノルウェーの多国籍企業(運営はボーイング)である上に、打ち上げるロケットはウクライナの設計、カリフォルニアで製造という状況を「ロシアのロケット」と言っていいのだろうかという疑問はある。旧ソ連系、ぐらいの表現が妥当か。

※この記事は以下のtwitterアカウントを参考にしました。
松浦晋也 @ShinyaMatsuura
柴田孔明 @koumeiShibata
牧野一憲 @kzmakino
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

2013/01/27

H-IIA F22.

H-IIAロケット22号機による
情報収集衛星レーダ4号機および実証衛星の打上げ結果について


H2Aロケット打ち上げ成功 衛星を所定の軌道に投入

リフトオフから20秒でいわゆる雲ズボでしたが…。

それはそうと、今回どういうわけか直前(当日!)の鹿児島 -> 種子島便に急に空きが出たんです。いつもは日程発表前に関係者で埋まっちゃうのに。


JAL(JAC)の機材を見ると種子島便で使われているDH4=ボンバルディアDHC8-Q400は座席数74、
SF3=SAAB 340Bは36席しかない。

↓これ関係あるかな?

三菱電機株式会社に対する競争参加資格停止の解除について

6:10羽田始発のJAL1861に乗ると8:10に鹿児島空港着、そのまま8:30鹿児島発のJAC3761に乗り継ぎで9:05には種子島に上陸できるという…そのひとつ後のJAC3763でも11:30着だから13:30〜の打ち上げに間に合う。
かなり揺れたけど日帰りはツマラナイのでやめました。。。一週間とか休んでゆっくり行きたいね。もういいかな、と思う直前くらいで帰ってくるのがいい。