2011/12/28

先送りの季節。

ぼんやりした理由で延期すんだねえ。

2機の国産ロケット打ち上げ、来年度に延期

JAXA、観測衛星打ち上げ延期 来年度に

「こうのとり」年度内の打ち上げは延期

相乗りが遅れても待ってるものなのか。

2011/12/26

落ちる年。

今年はロシアがよく落ちる。Progressに始まりPhobos-GruntもMeridianも全部上段の点火失敗。

ロシアの衛星打ち上げ失敗=ソユーズ同系ロケットに不具合

まあ同系のR-7ではあるけど今回の原因は上段のFregatだよ。いやリフトオフ7分後に3段目は早すぎないか?2段目に点火するのが15分後ぐらい、さらに上はそのあとだよね?
Soyuzの2段目というのは4基のRD-117ブースターを0段目と数えるから1段目がRD-118(RD-117+ジンバル制御)、2段目は2006年にペイロードMeridian 1でデビューしていまいち実績に乏しいRD-0124、3段目がFregatか。

ロシア、通信衛星の打ち上げに失敗 シベリアに落下

え、国防省。
と思ったらペイロードの通信衛星Meridian(メリディアン=子午線)は軍用でも使うからRoscosmosじゃなくてロシア宇宙軍が運用するんだって。メリディアンはモルニヤの置き換え、軌道は日本のGPS補完準天頂衛星みちびきの先祖みたいなモルニヤ軌道
Meridianは1のあと2が失敗、あと3と4が上がってる。今回は5号機が失敗。何機でコンステレーション展開する構想なんだろう。モルニヤはのべ150機を打ち上げ、現在も20機以上の衛星で運用してるんだって。
過去12か月間で測位用衛星3基、軍事衛星1基、通信衛星1基、火星探査機1基の打ち上げや軌道投入に失敗している。
あら。
がんばれ。

おまけ。

打ち上げ失敗衛星の破片、「宇宙飛行士通り」の民家直撃=ロシア

ちゃんと賠償してもらいなよ。

2011/12/20

ヤー、チャイカ!

ユーリィ・ガガーリンは若くして事故死したけど、テレシコワは存命。
この世代の宇宙飛行士は地上管制のセルゲイ・コロリョフと直接無線交信してるんだね。

テレシコワさん下院議員に 世界初の女性宇宙飛行士

この人の経歴おもしろいよ。
普通教育を修了したあとタイヤ工場や繊維工場で働きながら通信過程で工学を学び、地元の航空クラブで何度かスカイダイビングを楽しむうちに宇宙飛行士に興味を持ったんだってさ。
初めての女性、そしてロシア人として初めての文民(⇔軍人)飛行士。実際に宇宙に行ったのは一度きり、その後に大学へ入って工学の博士号を取得。さらにソビエト共産党で政界へ進出。

さあ、どうなることやら。。。

2011/12/13

H-IIA F20

ロケットの打ち上げ見てきました&撮ってきました。
画像をクリックするとMobileMeのギャラリーに飛びます。



詳しくはいずれ。。。

2011/12/11

I'm here!

種子島に来てます。

H-IIAロケット20号機による
情報収集衛星レーダ3号機の打上げ延期について


延期の情報がJAXA.jpに上がって10分後ぐらいにレンタカー屋さんから電話。「ニュースごらんになりました?ご予約の日程変更しますぅ?」どこまで親切なんでしょうか、ここの人たちは。

H-IIAロケット20号機による
情報収集衛星レーダ3号機の打上げ日について


12日は無事に上がるかなぁ。
種子島宇宙センターへの旅について、おすすめ経路やら何かはまた改めて。

それはそうと道中の鹿児島で桜島の爆発?噴煙が上がる瞬間が見られました。

IMGP3297

曇天の方は12時23分ごろ、鹿児島中央駅から高速船ターミナルへ向かうバスの車窓から。

IMG_3212

晴天の方は13時12分ごろ、その高速船トッピー3(Jetfoil Boeing 929)の船窓から。



船が結構揺れてたのと一眼レフ(PENTAX K-x)の動画モードなので見にくいかな。

2011/12/06

瀕死の輝き。

もうダメなのか?Phobos-Grunt.
数日前に10cm,500g程度の小さな何か(回収用カプセル?)が本体から二つ分離、うち少なくとも片方は大気圏に再突入して燃え尽きた。

Hope lost for Fobos-Grunt – likely to re-entry early in New Year

Is Phobos-Grunt dead? Europeans end rescue effort

ESA shutting down Phobos-Grunt listening campaign

まとめると、火星へ向けて地球重力圏からの脱出はほぼ絶望的なため、じきにESAは追跡を打ち切る。今後の運用はできるかぎり安全に再突入させる方向へ変更する。

#PhobosGrunt pass just after 5pm. Changing brightness rapidly... on Twitpic

12/5 17時すぎ(GMT)イギリス上空、アルタイルの少し上を横切る。2秒露出。速い=高度が低い。
apogee(遠地点高度)が300kmを切った。

ESA - ESA Spacecraft Operations - Perth station

こちらはESTRACK(European Space Tracking Network)のオーストラリアPerth局。NASAのDeep Space Networkに相当する深宇宙通信施設。あとカナリア諸島のMaspalomas局も稼働中。最初にPhobos-Gruntからのpingを受信して以来、受信できたテレメトリデータをロシアに渡しては制御コマンドを送信しているが依然応答なし。

2011/11/25

9ヶ月で火星へ届く好奇心。

NASA火星探査車打ち上げへ、生命の可能性を調査

見たまえよ。
フロリダ州はケネディ宇宙センターのすぐ隣、ケープカナベラル空軍基地から。



現世代のAtlas Vは、元をたどればICBMという出自にもかかわらず一段目エンジンRD-180はロシア製。
今回の構成はペイロードフェアリングが5m径、固体ロケットブースターが4基、上段のセントールが1基の541だからロケット的には大して見どころはないかも。。。
早くCommon Core Booster背負ったHeavy構成を見たいね。H-IIAで計画されてたLoquid Rocket Boosterみたいなもんか?と思ったらGXロケットの一段目がAtlas Vと同じRD-180を使う計画だったんだってさ。

2011/11/14

抜群の安定感。Союз TMA-22

たとえ火星探査機が地球の重力圏脱出前に運用継続の危機に瀕しようと、そしてこんな雪の中でも難なく上がっていくソユーズ。



9:19ぐらいのとこをよく見てみよう。
リフトオフ後、約530秒で二段目燃焼終了、軌道船分離。周回軌道到達と同時に無重量状態になる瞬間、画面右上にぶら下がってたAngry Birdのマスコットがフワリと浮く。
こういうのをつけとくのは旧ソ連、ユーリィ・ガガーリンの初飛行以来の伝統で、発案者はガガーリン自身といわれている。複雑な計器を確認しなくても、あるいは体感に頼らずに無重量状態が一目瞭然。



こちらはマニア向け、ひとつ前のTMA-21が組立棟から射点まで鉄道で機体移動する映像。こんなものほんとに飛ぶのか?警察犬を連れた周辺警備も犬の散歩にしか見えないのどかさ。
途中4:00ぐらいのとこでこないだのZenitと同様に上段との接続部分が鉄骨むき出しスケルトン構造のとこが見えたり、ガガーリンの有人周回軌道50周年のロゴが見えたり、アボートタワーの構造がかなり高い解像度で見える貴重映像!

2011/11/12

Phobos Grunt, Down to Earth Soil?

現時点で軌道は確定、探査機はセーフモードでテレメトリは取得できたものの、地上局からのコマンドに応答しないみたい。

ロシア火星探査機、応答なし 地球落下の恐れも

火星の重力圏に到達したら、NASAが主導するDeep Space NetworkとESAのEuropean Space Operations Centreを使って24時間交信できる体制で運用の予定だったみたい。まだ今はロシアの地上局からしか通信できないから、こちらからコマンドを送信できる時間帯も制限される。

打ち上げ直後の時点で近地点高度207kmしかないから、空気抵抗でじわじわ高度が下がってきて、やがて大気圏再突入しちゃうよね。予定通りだったみたいだけど、そんな何日も残ることを想定してないからリブースト(再加速=高度を上げる)機能もないだろうし、電力供給も火星の重力圏内に到達してから、運用開始してからのシステムは使えない。
「きわめて毒性が強い」推進剤は非対称ジメチルヒドラジンと酸化剤に四酸化二窒素ですね。

Fregat

一度パーキング軌道に入るのは初期動作確認のためとかじゃなくて、もともとは2周目の途中で二段目に点火してアポジキック、より大きな楕円軌道に遷移、さらに推進剤の増槽を分離放棄して二段目二回目の点火で地球の重力圏を脱出する予定だった。

Lancement-Phobos-Grunt

この推進剤の増槽みたいなものが、中国の蛍火1号を搭載するために「政治的な理由で」設計変更された部分なのかも。

NORAD(北米防衛司令部)は、このまま二段目に点火も再加速もできなければ11月26日に大気圏に再突入する可能性を示唆している。

2011/11/09

Look on the bright side.

Phobos-Gruntのミッションについてもう少し詳しく。芳本美代子じゃねえぞ。それはみっちょんだ。
公式ではなさそうな紹介動画。



もともとLEOのパーキングに入れる予定だったんだな。音楽がむやみにかっこいい。Apocalypticaを思わせるプログレッシブ弦楽。

Russia Launches Mission to Mars Moon; Probe to Send Back Dust
in summer 2014, the capsule will slam into the Sary Shagan test range in Kazakhstan at 67 miles (107 kilometers) an hour, performing its landing without the aid of parachutes.
ナショジオの記事はときどき疑わしい。

「火星の衛星フォボスの土を採取したカプセルは2014年にカザフスタンのサリシャガン実験場にハードランディングする予定。その際の速度はパラシュートを用いずに時速107km程度である。」

どう考えてもケタが違う。
はやぶさのカプセルが大気圏再突入時に約12.2km/s=43,900km/hだった。地表に到達した時点での速度は不明だけど、逆噴射システムも持たないカプセルがパラシュートなしで100キロとかそういうオーダーまで減速できない感じがする。飛行機の高さから人間が自由落下しても300km/h超えるんだもの。

地球の周回軌道より外から減速しないで落ちてきたら事実上キネティック弾じゃねえか。まあ減速しないとは言ってないか。

Федеральное космическое агентство России, Russian Federal Space Agency

アメリカだとNASAに相当するロシア連邦宇宙局の公式発表。Google翻訳で露 -> 英。
要点は、
・軌道要素は完全に確定した
・通信できるのはモスクワ時間で23時以降、ロシアからの(電波的)可視圏に入ってから
・軌道要素と電力供給の点から、ソフトウェア改修&再点火は2週間以内に実行する必要

がんばれよ。
おまえもがんばれよ。

2011年、火星往復の旅。

ロシアの火星探査機Phobos-Gruntと相乗り(便乗?)で中国の探査機Yinghuo-1(蛍火1号)がバイコヌール宇宙基地からZenit-2SBで打ち上げられた。
理学ミッションは火星の衛星フォボスのサンプルリターン。



まずLaunch Vehicle Zenit-2SB(ロケット)について。
もともとEnergiaのLiquid Rocket Booster(液体推進剤ブースター)として開発された一段目エンジンRD-170に二段目を追加して単体で飛行できるように仕立てたのがZenit-2ファミリー共通の背景。ケロシン(RP-1)+液体酸素のロケットエンジンRD-171は4つの燃焼室とノズルで1基のターボポンプを共有する。現役の液体推進剤ロケットエンジンとしては世界最大の推力を持つ。
RD-171は基本的にはRD-170と同じ構造で、ノズルのジンバルを1軸から2軸に発展させたもの。
Zenit-2をSeaLaunchが上段ステージ(三段目)を追加・発展させたZenit-3SLからさらにフィードバックして、より先進的な仕様に改修されたのがZenit-2M/2SB/2SBLということらしい。
一部のサイトではZenit-2FGと表記されているが詳細不明。

4つのノズルから吹き出す、少し外向きに角度がついた炎が印象的。
いまどき固体推進剤ブースターを持たないロケットは新鮮。現役では韓国の羅老(一段目はロシアのアンガラ)ぐらいしか思いつかない。



…画質と被写体のバランスがおかしい。

一段目はリフトオフ後約11分で正常に燃焼終了、分離したものの、二段目の点火が3時間近く(地球2周分の時間?)経っても確認できない状態が続いた。南米上空で点火するシーケンスだったが、ロシアの地上追跡局はヨーロッパとアジアしかカバーしていないため、一時はテレメトリ受信できずトラッキングも見失った。
ブラジルの展望台が光学捕捉、その後ESA(欧州宇宙機関)のESTRACKが探査機からのpingを受信。続いてDeep Space NetworkのGoldstone Radar Observatory(電波天文台)も探査機がセーフモードに入っているというpingを受信。
現在、上段ロケットモーターとペイロードの分離状態は不明ながら、近地点(perigee) 207km 遠地点(apogee) 247kmのパーキング軌道を周回していることを確認。

Saturday, November 12, 2011 at 02:17 追記:近地点(perigee) 207km 遠地点(apogee) 347kmの間違いでした。

予定通りに上段に点火しなかったのはおそらく飛行制御ソフトウェアに原因があると思われ、その改修で正常な運用に復旧できるか調査中。ただし目的地が火星なのでお互いの公転軌道の関係であまり時間がない。タイムリミットは3日以内。
探査機本体やロケットモーターのハードウェア障害である可能性は低いが、もしそうだとしたら"The mission is OVER"だろう、というのが現時点でのまとめ。

ソースは以下。ロシア語が読めないので英語のサイトのみ。。。

Russian Zenit-2 launches Fobos-Grunt – Battle on to save mission

Russian Mars mission halted by glitch in low Earth orbit

あきらめるな。まだ家を出て玄関先で靴ひもがほどけたようなもんだ。
…ところで蛍火どこいった?

2011/11/07

天宮一号と神舟八号、交会と対接。

いささか旧聞ですが。

神舟8号、打ち上げ準備整う

中国、「神舟8号」の打ち上げは明日6時58分

神舟8号、11月1日に打ち上げ

ロケットは9月に天宮一号を上げたのと同じ長征2F。
その天宮一号が軌道上で待機しているので、接近rendezvousしてdockingまで無人で行う。今回は自律ではなく地上からの遠隔操作。

「神舟8号」、「天宮1号」と初の無人ドッキング
成功!アメリカ、ロシアに続き、宇宙空間で有人宇宙船のドッキング技術を持つ3番目の国となった。
ここもうちょっとなんとかならんかなぁ。
確かに神舟は同型他機で有人飛行の実績があるけども今回は無人の実験。ESAのATV(欧州補給機)や日本のHTV(こうのとり)は自律rendezvousからdockingまでの実績があり、与圧部を有人化する構想が進行中。

神舟はロシア(旧ソ連)のソユーズのデッドコピー…ではないにしろ、かなりの部分をお手本にしたつくり。天宮も同様にザーリャズヴェズダに相当するモジュールかな?

「神舟8号」と「天宮」の結合ユニット、円軌道に

リブーストも試すんですね。
NASAの歴史におけるジェミニ計画を(今のところ)無人で進めてるような感じ?

韓国専門家、中国の宇宙開発に「成功事例だけでは判断できない」=中国

言ってることは間違ってないと思うけど、とりあえず羅老(ナロ)ロケットを成功させてからな。
宇宙開発、ロケットや各種宇宙機も広義の工業製品であり、最終的に運の要素も排除できない。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」松浦静山
まあ、そういうことです。

本物を見るために。

国産最大ロケット、内部まで見られます…名古屋

H-IIBの展示は初めてだ。

H-IIBロケット(名古屋市科学館)

あ…一段目のLE-7Aが2本束ねてあるとこは見られないのね。種子島宇宙センターに保存されてる(施設見学ツアーを申し込むと見学できる)H-IIロケット7号機みたいな状態か。

宇宙ステーション『ミール』が苫小牧に

苫小牧にミールの実機があった!

ミール展示館(苫小牧市科学センター)

これはいつか見ねば。
遠いなー苫小牧。でも時間にしたら種子島の半分ぐらいだ。

あんまり関係ないけど苫小牧市長の名前がすごい。岩倉博文。よくばり!

2011/11/02

ソ連から来たアイツ。

届きました。20年の時を超えて、なぜかカナダから。
…税関の人も建築廃材にしか見えなかろうよ。

IMGP3142

石英ガラスを発泡成形した耐熱保護タイル。写真は4S202構成のH-IIAボールペンといっしょに。

持ってみた感じは軽石というよりもむしろ発泡スチロールぐらいの軽さ。でも叩くとカンカン硬い音がするフシギ物質。表面はアブレーション冷却からの連想で釉薬(うわぐすり)みたいにツルツルしてるのかと思ったら完全にツヤ消しのザラザラ。裏面(オービターに固定されてた側)は爪でひっかくとチョークみたいな白い粉がボロボロ崩れるくらい脆い材質。

こんなの貼りつけて宇宙に行こうとしてたんだなぁ。しかも人を乗せて。
で、こうなると欲が出てアメリカのスペースシャトルの同じものもほしくなってきたわけだが!(つづく?)

2011/10/31

露仏同盟。

こんなの知らなかった。

ギアナから初のソユーズロケット打ち上げ

フランス領ギアナのESAギアナ宇宙センター、クールー射場からロシアのSoyuzロケットが打ち上げられた。ペイロードはEUの衛星測位システム"Galileo"(アメリカで言うところのGPS)コンステレーションの一部"In-Orbit Validation"実証衛星2機。正常に軌道に投入して飛行を完了した。



ローンチビークル(ロケット本体)だけ持ってって上げられるもんじゃないから、わざわざソユーズ用の射場を建てたんだね。カウントダウンはフランス語で、その近辺のシーケンスはアリアンと同じESA風?

ロシアの射場はバイコヌール宇宙基地が北緯45度、プレセツク宇宙基地に至っては北緯62度!建設中のボストチヌイ宇宙基地でも北緯42度。
旧ソ連時代に打ち上げていたのは、軍事偵察衛星や自然科学観測衛星など極軌道もしくはそれに近い、傾斜角が大きい軌道の衛星ばかりだったから、射場の緯度が高いことはさほど問題にならなかった。
近年、傾斜角が小さい対地同期(静止)軌道等に衛星を投入するには、地球の自転速度を利用できない、発射してから飛行中に進路変更するエネルギーが無駄になるなどの理由で、まったく向いてない。ロシアにとっても北緯5度(!)のギアナ宇宙センターは魅力なんだろね。

ギアナ宇宙センター(CSG = Centre Spatial Guyanais)でソユーズを打ち上げる射場ELS(Ensemble de Lancement Soyouz = Soyuz Launch Complex)はArianeを上げる射場から15kmも離れてるんだってさ。広いな。

奇しくもSoyuzは英語でunion...つまり同盟や連合といった意味合いである。

Soyuzはロケットの名前でもあり、ペイロードとなる有人宇宙往還機の名前でもある。つまりSoyuz+SoyuzのみならずSoyuz+Progress(無人補給機)という組み合わせも存在する。

2011/10/27

政治に翻弄される。

こんなの買ってみました。PayPalの即時決済で5,688円。

SPACE SHUTTLE BURAN HEAT SHIELD THERMAL BLACK TILE



Buran計画はソ連崩壊とともにうやむやに立ち消えとなった儚い有人往還機の夢。
せっかくだから出品者に「これ実際に飛んだやつから取ったの?」と聞いてみた。
いわく「計画自体が中止になっちゃったから作ってる途中の個体から取ったものだよ。実際に宇宙に行ってきたやつはカザフスタンのバイコヌール宇宙基地に保管されてたみたいだけど、数年前に格納庫ごと崩れて壊れちゃったから部品を取るのは難しそうだなぁ」だそうです。

Buran Orbiterは、まず実験用の実物大模型や試験機が計8機製造された。

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1号機:実物大試験機
各種部品や打ち上げるロケット"Energya"とのフィッティングや静的負荷試験に使用。しばらくバイコヌール宇宙基地の野外に放置されたのち、2007年から現在は同基地内の博物館に展示。

2号機:実物大空力実験機
実際に25人を乗せて大気中を試験飛行した。2000年のシドニーオリンピック期間中、会場に展示。その後2002年から2007年までバーレーンで保存され、現在はドイツのシュパイア技術博物館で常設展示されている。

3号機:実物大モックアップ
電気電子系試験用。モスクワ近くのコロリョフ設計局に保管されている。

4号機:実物大モックアップ
マニュアル作成と訓練用。ロケットとの接続試験も行なった。バイコヌール宇宙基地に保管。

5号機:試験機(機体構造の一部のみ?)
次世代機のための振動や耐熱試験を行なう予定だった。現在は消息不明。

6号機:ペイロード試験機
宇宙空間を模した"environmental chamber"(人工環境室)でペイロード(貨物)の各種実験を行なった。現在はモスクワ近くのНИИХИММАШ(発音不明)試験施設に保管されている。

7号機:実物大試験機
静的および動的飛行負荷試験、振動・耐熱試験
モスクワのゴーリキー公園に展示。耐熱タイル部分は木製のフェイクで覆っていたが、雨ざらしで傷んできたため剥がし取り、現在は金属の機体に直に黒ペンキで塗って遠目に見るとタイルが貼ってあるような外観になっている。

8号機:実験機(一部のみ?)
真空試験、耐熱試験等を行なったが、その後は不明。
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ここから先は実用機、またはその予定だった機体。

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1号機:ブラン、またはブラーン
生命維持装置等は搭載しないまま無人で試験飛行、約206分で軌道を2周して無事に戻ってきた。
この個体がバイコヌール宇宙基地"Site 112"ので保管中に暴風で格納庫(hanger housing)ごと崩壊。Orbiter損傷のみならず作業員8名も死亡の惨事。すくなくとも2008年前半の時点では依然として瓦礫の山に埋もれたまま。

The Buran Space Shuttle.

2号機:プチーチュカ(小鳥の意)
95%程度まで完成していたが、残りわずかな電子電気系の搭載を待たずして計画消滅。1991年に無人で初飛行、1993年には生命維持装置を搭載して有人飛行の予定だった。バイコヌール宇宙基地内のMIKビルに保管されている。プチーチュカはBuran Orbiterの一般名詞になるはずだった。

3号機:名称未定
計画変更後、1995年に初の有人飛行予定だったが4割程度しか完成していない。モスクワのTushino factoryで雨ざらしになっている。2004年ごろNPO Molniyaへの移送や前出のシュパイア技術博物館に売却される可能性が報じられたこともあるが、すくなくとも2009年までは当時の状態から変わっていない。

4号機:名称未定
有人飛行の2号機として運用される予定だった機体。計画が消滅した時点で2割ほど完成。これもモスクワのTushino factoryの野外で雨ざらし。取り外された耐熱タイルがネットオークションに出品されている。←こいつか!

5号機:名称未定
有人3号機として運用予定だったが未完成のまま分解されて現存しない。
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オマケ。窓んとこ。約30万円。

BURAN PORTHOLE very rar Space Shuttle Buran Baikal

2011/10/22

よってたかって4感動。

日本の宇宙開発史上初。ひとつのテーマで映画が4本ほぼ同時製作されるという異常事態。

おかえり、はやぶさ(松竹)

全天周映像 HAYABUSA BACK TO EARTH

はやぶさ 遥かなる帰還(東映)

はやぶさ/HAYABUSA(FOX)

こんなみんなしてよってたかって映画にしなくても。。。まあどれも見たら号泣してしまうに決まってるのでBlu-rayが出たら家で見よう。

2011/10/13

スペースもったいない精神。

一般的に、ロケットの一段目には構造がきわめて複雑で高価な液体推進剤エンジンが使われることが多い。ほとんどの場合は一回使ったら終わり、燃焼終了とともに切り離して安全な海上へ投棄(jettison)する。

SpaceX Working on Reusable Falcon 9 with Fly-back Boosters

はい、ここでMOTTAINAI精神を発揮しちゃいました。地球を一周して同じとこに戻ってきた一段目、二段目を射場の同じところに軟着陸させようという研究。
Space X本家サイトには動画(イメージCG)がございます。

SpaceX - National Press Club luncheon with Elon Musk

…なめてんのか?と思ったけどもさしあたって一段目に関してはあながち荒唐無稽とも言えないかも?まず地球を一周してくる間に推進剤はほとんど使い果たして軽くなってるだろうし、減速には逆噴射だけじゃなく空気抵抗も利用できる。
打ち上げたその射点にストンと立つかどうかは別として。。。
ただ、フツウのロケットの一段目はそもそもジンバル以外でマヌーバ的なことを行うことは想定してないはずだから、すくなくとも空中でひっくり返るために必要な構造強度を設計し直す必要はある。質量の増加を抑えつつ。

実現すればペイロード単位重量あたりのコストを100分の1にできる!と豪語してるみたい。いくらなんでも100分の1はないだろう。スペースシャトルだって行って戻ってきたらエンジン含めてほとんど全バラシ整備してたわけで、かえって高くつく可能性すらある。何かしら機械を分解清掃・整備してみたことがある男の子(漢の娘を含む)ならわかるよね?

※ただしスペースシャトルは液体水素+液体酸素、Space XのFalcon 9はケロシン+液体酸素

ちなみにSpace X社の創立者である現CEOはPayPalの前身を創立して財を成したIT長者の類いで、Space X以外にTesla MotorsのCEOでもあるのだよ。個人資産300億円ぐらい持ってるみたい。でもロケット飛ばすにゃ十分とは言えない額だなぁ。

IGS-5B on F20

JAXAの公式発表ないままにレンタカー以外すべて予約しちゃったが大丈夫か。

情報収集衛星:「レーダー3号機」12月に打ち上げ

H2Aロケット、12月に打ち上げ 情報収集衛星を搭載

情報収集衛星12月11日打ち上げへ(鹿児島県)

今度は長谷じゃないとこから見てみるよ。
前日に皆既月食も見られるかも?

2011/10/11

ソフトウェアアップデート失敗 -> セーフモード -> 再起動で復帰。

カナダの通信衛星Anik F2に障害発生、音声通話、データ通信、銀行ATM網、CATVおよび民間飛行機の管制に影響。

Satellite problems ground Nunavut flights

・ソフトウェアアップデートのコマンド送信
・日常的な姿勢/軌道修正(routine maneuver)失敗?
・通信が途絶える
・衛星側が自律的にセーフモードに入る(ソーラーパネルを太陽に向けて電力を確保した状態で待機)
・自動的に再起動、通信再開。ソフトウェアアップデートは先送りにして機能復旧

人工衛星のくせにパソコンみてえなやつだな!

Anik F2 Satellite Returns to Full Service

Anik F2はある程度汎用性のあるBoeing 702型。2004年7月にAriane 5ロケットで打ち上げられた。質量(打ち上げ時の推進剤を含む)は6tに迫る大型の衛星で、Ariane 5GのGTO(静止軌道)ペイロードの上限に近い。
ちなみにAnikとはエスキモー(イヌイット)の言葉で「弟」を意味するらしいぞ。

2011/10/03

命短し。

大部分の人工衛星は軌道制御(あるいは再加速)用スラスタの推進剤が尽きたら、他に機能的障害がなくても運用寿命を迎える。

前回までのあらすじ(うそ)
ロケットエンジンは基本的に自らの質量の一部(推進剤)を高速で投げ捨てる(噴射する)反作用によって推力を得る。
宇宙空間における加速(姿勢や軌道の変更など、等速直線運動以外すべて。ただし天体の重力を利用するスイングバイを除く)は投げ捨てる質量の大きさとその速度で決まることが19世紀にロシアの科学者コンスタンティン・ツィオルコフスキーによって証明されている。イオンスラスターは投げ捨てる質量そのものはきわめて小さいが速度が化学ロケットに比べて高い。一般的な化学ロケットが推進剤を酸化させたガスを噴出する速度は最大4,600m/s程度、これに比べてイオンエンジンは30,000m/s以上。近年、多くの人工衛星や探査機にはヒドラジン+酸化窒素の二液化学スラスターに代わって、より比推力の高い(≒燃費がよい)イオンスラスターが採用されている。

余談だがツィオルコフスキーが上記の公式を完成させたのは1897年、リリエンタール死去の翌年。ライト兄弟の初飛行よりも前なんだってさ。

衛星多数が宇宙ごみ化-NASA「UARS」落下、燃料補給で延命策も

速くて軽くて小さくて安い。ロケットガールじゃねえか!(公式サイトは終わってた)

作者自ら「荒唐無稽」と評したスキンタイトスーツとハイブリッドロケットは、作中に出てくるものとは異なるものの(とくに後者)、実際に研究が進んでるぞ。
原作とアニメの相違点「冥王星は惑星ではなくなっている」にも微笑。

これ見て宇宙開発および関係技術者に対する冒涜であるとか評論しちゃってるブログ見つけたけど何を期待してんだろう。JAXA(NASDA,ISAS)はともかく宇宙開発全般が「聖域」だった時代なんか人類史上一度たりともなかったのに。
人の安全を軽視するどころか人殺しの道具が不可欠でバンバン殺し合いしちゃうガンダムみたいの全部ダメじゃん。ブラックジャックもわりとカジュアルに命の値踏みするしさ。そういうもんだよ。アニメとかマンガとか。

2011/09/30

希有なるもの、長征2Fと天宮1号。

中国のニュース。長征2F型ロケットで天宮1号を打ち上げ。ロケットの物理的な大きさからいうと日本のH-IIBに相当するかな?ただし推進剤はH-II系のLE-7より原始的なヒドラジン、毒。

「天宮一号」打ち上げ 宇宙基地建設へ一歩

うー、すー、さん、あぁ、いー、リフトオフ。



こんなゆっくり離昇してくロケット初めて見た。。。
管制の通信(当然中国語)、固体ロケットブースター4基と一段目をほぼ同時に切り離すという乱暴なシーケンスからフェアリング分離。中国がここまで見せるってすごいことだよ。

中国で現状はアメリカにおける70年代のスカイラブ計画ではなく、まだアポロ計画の前、ジェミニ計画のあたりと捉えているようです。まずは成功おめでとう!あんまり熱心に他国の上空を占拠すんなよ!

2011/09/29

落ちてくる日常。

たまに発生するイベントってこった。

今度はドイツの衛星落下へ=10月下旬~11月上旬

ROSATはドイツ、アメリカ、イギリスの合同で製作されたX線観測衛星で、レントゲン博士(Dr.Wilhelm Conrad Röntgen)にちなんでRöntgensatellit(レントゲンサテリット)と命名された。1990年6月1日にケープカナベラル空軍基地からデルタIIロケットで打ち上げられ、1999年2月12日に運用を終了した。
軌道傾斜角53度、初期高度580kmの軌道を周回していたが、大気の抵抗で徐々に高度を下げ、現時点で高度およそ270kmの軌道を周回、今年末に大気圏再突入が予想されている。

衛星そのものが大きいというよりも、ミッションの性質上ガラスやセラミックが多用されているため、相当の質量が燃え尽きずに地上まで落下するおそれがある。

さあ、今度は誰に当たるかな?

2011/09/28

Man Made Marvels.

ディスカバリーチャンネル「奇跡の建造」より種子島宇宙センター、日本語字幕つき。これDVDなりBlu-rayで出してくれたら買うのになぁ。



H-IIとH-IIA F6(IGS)の失敗やF8(だいち)、F9(ひまわり7号)の成功を通して、日本(JAXA)が商業ロケットビジネスを確立するまで。

2011/09/26

大河の名を戴くロケット、必要以上のかっこよさ。

その名はドニエプル。



こちらもICBM(大陸間弾道ミサイル)を転用して、民間の商用衛星を打ち上げるロケット。何がすごいって打ち上げ方がミサイルと同じ!サイロからコールドローンチ!
地上の発射台からではなく、サイロからちょっとした爆薬でロケット本体を上に吹っ飛ばし、おおむね空中に出てきた時点でメインエンジン(非対称ジメチルヒドラジン+四酸化二窒素)に点火!さすが出自が即応性を要求されるICBMだけあって低温系を持たないかわりに毒!



何の話してんだか全然わかんねえな、と思ったらロシア語だった。
こんな勢いで吹っ飛ばしてペイロードの衛星は大丈夫なんだろうか?このあとかかる加速度を考えたら平気なのかな。

ちなみに、このニュース映像で上げてるペイロードはドイツのRapidEyeという会社の光学地球観測衛星。ドニエプルの元となったミサイルR-36を、アメリカのアポロ計画を尻目に開発していたエンジニアたちは、まさか半世紀も後に「東西統一ドイツ」の「民間の人工衛星」を打ち上げるなんて想像してだろうか。。。

ラピッドアイ社

オマケ。
商用の衛星打ち上げを請け負うということで仕様が公開されてます。User's Guideて。家電か!

DNEPR User's guide (PDF)

2011/09/23

成功!

ロケットは正常に飛行を完了し、ペイロード(ロケットが運ぶ荷物)である情報収集衛星も正常に分離、軌道に投入されたようです。

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げ結果について

あとは数ヶ月かけて衛星自体の機能が正常と確認できたら運用開始。
とりあえずロケット班のみなさん、おつかれさまでした!また長谷展望公園(南種子町の公式展望台)では三菱重工のツナギ着たお兄さんたちが万歳三唱してたかな?

あとは衛星運用班がんばってください。

北朝鮮監視衛星を搭載、ロケット打ち上げ成功

この写真、ニコ生とかUstreamで生中継してた人とほとんど同じ場所から撮ってるね。

情報収集衛星 打ち上げ成功

報道は竹崎展望台に入れてもらえていいなぁ。。。

これでH-IIAは18/19で成功率94.7%になった。基本構成要素の多くを流用したH-IIB 2機を含めると20/21の95.2%だから、積極的な開発を進めている先進的なロケットの中では信頼性はかなりいい方?

落下物についてのご注意。

10日ほど前にこんにちはデブリ。で記事にしたアメリカの人工衛星UARSが、いよいよ明日あたり落ちてくるもよう。

人生で一度だけ、大気圏に再突入する人工衛星を見たことがある。
1984年か85年の夕方、西の空を南の方向へ横切る火球のようなものが数十秒に渡って山の稜線から見え隠れ。当時は今ほど簡単に情報を共有できる時代ではなくて、すぐには何だかわからなかった。翌日の新聞で人工衛星が落ちたことを知った。

…というのを今の時代に調べたら何がわかるんだろう?と2年おきぐらいにネットで検索してみても、ずっと詳細不明のままだったのが、ついに判明。手がかりになったのはTBSニュースの動画。



1:22付近から甲子園のカメラが捉えた映像。
(・∀・)コレダ!日時から推測するに、ソ連(当時)のKosmos 1685のようだ。

Kosmosは旧ソ連の、事実上Zenit 8と同一の光学偵察衛星である。15日間ほど軌道を周回したのち、撮影したカメラとフィルムを収めたカプセルを機械船から分離して大気圏再突入、回収する。

List of Kosmos satellites (1501–1750) - Wikipedia, the free encyclopedia

おいこらどんだけロケット飛ばしてんですか。バイコヌール宇宙基地とプレセツク宇宙基地の両方から毎週のように、多いときは3日で4回とか上げてるよ。さすがICBMが常時スタンバイ状態にあった時代、世界の半分を支配してた大国は違うぜ。

Space events - 1985
1985 Sep 26 11:15 Cosmos 1685 (Zenit-8, Oblik) launched into 197 x 353 kilometre, 90 minutes period, 72.9 deg inclination orbit from the Plesetsk Cosmodrome by Soyuz 11A511U rocket. Variant of the Zenit photographic satellite with capabilities of imaging at high slant angle.

1985 Sep 28 02:38 Orbit of Cosmos 1685 reported as 356 x 415 kilometres, 72.9 deg inclination with 90 minutes period.

1985 Oct 10 04:48 Cosmos 1685 descent module lands for recovery after being commanded to re-enter the Earth's atmosphere.
zarya.infoより。いいドメイン名だ。
Zaryaはsunrise,dawn=夜明け、日の出を意味するロシア語。ガガーリンが人類史上初めて地球周回軌道に到達したときのバイコヌール宇宙基地(セルゲイ・コロリョフらが率いる地上管制)のコールサインらしい。国際宇宙ステーションの最初の構成要素として打ち上げられた宇宙機にも名付けられている。

米人工衛星:日本周辺落下「可能性小さい」藤村官房長官

軌道を計算できるサイトがあってさ。

UARS - Visible Passes

9/23から先の10日間で検索すると東京のあたりは2回かすめるだけ?バイクに当たって壊れたりしたらすごい記念になるのににゃー。

今度こそ!F19

どっちの記事も微妙に間違ってんぞ。

H2Aロケット射場に移動 23日打ち上げ

射場へ移動じゃなくて、大崎射場の中で組立棟から吉信第一射点へ移動ですね。N系やJ-Iを上げてた大崎射点とかあのへんの地理感覚は実際に行ってみないとわからないよ!おじゃり申せよ。

H2Aロケット、発射台に移動=情報衛星を搭載―種子島宇宙センター

H-IIAを含むH-II系ロケットは組立棟(VAB=Vehicle Assemble Building)から移動発射台(ML=Mobile Launcher)ごとドーリーに載せられた状態で射点まで移動する。

H-2Aロケット 19号機 機体移動 生中継【予定】 (番組ID:lv64784418)

ニコ生で機体移動の生中継やってたみたい。
父の遺言でニコ動のプレミアム会員にはなるなと…いや生きてますけど。親父。たぶん。知らねえ。

2011/09/18

More! F19

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げ延期について

そら再々延期するわ。だって台風きてるもの。
種子島宇宙センターの大崎射場は少し急がなけきゃいない事情があって、それはつまり後の予定が詰まってる。今年度中にあと3機のロケットを打ち上げる予定。
  1. H-IIA 20号機?情報収集衛星(IGS=Information Gathering Satellite)レーダー3号機
  2. H-IIA 21号機?地球環境(水循環)変動観測衛星(Global Change Observation Mission=GCOM-W1)
  3. H-IIB 3号機 こうのとり3号(HTV 3)
ロケットは造ったらすぐに打ち上げられるものではなくて、部品単位で、たとえば第一段のロケットエンジンLE-7Aなんかは領収燃焼試験をパスした後で、大崎射場吉信射点にあるでっかい箱場の建物VAB(Vehicle Assembly Building=ロケット組立棟)で二段式+ペイロードのロケットに組み立てられる。
で、このVABは一度に2機までロケットを組み立てられるけれど、それ以前に部品として持ち込める固体ロケットブースター(SRB-A)の数が法令で決まってる。なんでかってそりゃ危険物だから。末端水酸基ポリブタジエンコンポジット推進薬という物質を化学反応(燃焼)させて噴射して推力を得るのだけれども、この物資はきわめて大ざっぱに言ってしまえば「火薬とアルミの粉末を合成ゴムに練り込んで固めた」ようなもの。我々の常識からすると燃焼というより爆発に近い反応をする。
去年のH-IIA F19(みちびき)とH-IIB F2(こうのとり2)を同時に組み立ててるとき、前者は202構成だからSRB 2本、後者はSRB 4本の構成で計6本が搬入された状態で作業が行われ、安全基準が見直されたという経緯がある。

もひとつ。
そもそも情報収集衛星とは何ぞや。
1998年のテポドン騒動のとき、日本はアメリカの偵察衛星に頼ってていいのか?自力で情報収集ぐらいしたらどうか?という案が与野党から持ち上がって当時の小渕内閣がじゃあ上げっか、ぐらいのノリで始めた計画。光学とレーダーの2種類、各2機を2組の計4機で自然科学的な観測も含めた情報収集を行うという主旨。

光学観測衛星は、まあデジカメの超いいやつがついてると思ったら間違いねえ。レーダーは可視光や赤外線で見えない部分が電波的に観測できる。どちらも基礎的な技術は先日運用を終了した陸域観測技術衛星だいち(ALOS=Advanced Land Observing Satellite)の技術を基にしている。

疲れたから今日のところはこのへんにしといたろ。。。

2011/09/17

17 -> 18, F19

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げ日について
新たな打上げ日を平成23年9月18日、打上げ時間帯13時36分~13時49分(日本標準時)に決定いたしました
え、台風きてっけど大丈夫か?ふたつきてんぞ。

台風情報(台風15号)

台風情報(台風15号)

幸運を祈る!

2011/09/16

H-IIA F19再延期。

台風接近のため。

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げ延期について

ちょっと考えたら沖縄〜奄美〜大隅諸島は台風銀座だ。無事に上がるかどうか以前に現場で仕事する人たちの安全もかかってるからしょうがねえ。

深宇宙探査機なんかだと打ち上げのタイミングがかなりかぎられるけど極軌道の人工衛星ならそこまでシビアじゃないかな。

2011/09/15

失敗に学ぼう。

プログレス補給船(44P)、打ち上げ失敗



原因についての調査結果がロシア連邦宇宙局からJAXA経由で入ってきた。

プログレス(44P)の打上げ失敗と国際宇宙ステーション計画への影響について
第3段エンジン(RD-0110型)のテレメトリデータを分析した結果、 コンタミによりガスジェネレータの燃料流量が減少し、緊急自動停止に至ったことが判明。
なんというか…言ってみれば結構つまらないトラブル。一段目(ななめについてる蓮根みたいなやつ)は正常に燃焼終了・分離、二段目(ロウソクの芯みたいなの)点火、フェアリングも正常に分離、二段目燃焼終了、分離までは正常。最上段、三段目の推進剤(ケロシン=灯油、軽油、ジェット燃料と同じようなもの)に不純物が混入したか何かの原因で仕様通りの推力が出なくなったため自動的にカットオフ、軌道に届かず飛行終了。

このソユーズというロケットの基本設計は50年以上前のICBM(大陸間弾道弾)R-7からの転用。東西冷戦期に西側アメリカのフォン・ブラウンと並び称された、かのセルゲイ・コロリョフが率いるコロリョフ設計局によるもの。
現役で運用されているプロジェクトの中ではかなり枯れたプロダクトなんですけどね。設計、実装、運用が三位一体で動けないとプロジェクトはうまくいかない。まるで原発みたいじゃないですか。

ロシア…にかぎらずロケットには結構つまらない原因で落ちるものが多い。
昨年末のプロトンが落ちた理由はにわかに信じがたい。プロトンももともとはICBMとして設計されたものの転用だけどソユーズとは出自が別。こちらも三段目のトラブル。推進剤はソユーズのケロシン+液体酸素に対してこちらは非対称ジメチルヒドラジン、酸化剤は四酸化二窒素。どちらも猛毒です。

測位衛星3基を載せたプロトンロケット、打ち上げ失敗

Russia clears Proton to resume flying in December
Operating on outdated procedures, Russian fueling technicians filled the Block DM oxidizer tank to a level prescribed for earlier Block DM stages,(中略)The fueling team unknowingly loaded more propellant than necessary into the Block DM
えっと。。。燃料タンクの設計変更があったにもかかわらず、原始的な方法で酸化剤を注入していたら入れすぎてしまって質量が超過、必要な速度が得られず失敗。

うーん、おそロシア。

2011/09/14

猛吹雪という名の宇宙往還機。

しばらく前に、とあるオークションサイトにアメリカの宇宙開発グッズが大量に出品されたんです。

RR Auction: Browse Gallery :Space & Aviation

その中に大気圏再突入時にオービターの機体を保護する耐熱タイルがあったの。でも「このアイテムに入札できるのはアメリカ国籍をお持ちの方だけです」って言われちゃった。たしか最終的にUS $300ちょっと超えたと思う。

で。
旧ソ連にBuran(ぶらん)という、通称ソ連版スペースシャトル、つまりは宇宙往還機計画がありまして、こちらはタイミングがソ連崩壊と重なってしまったために計画そのものがなんだかうやむやになってしまったかわいそうな宇宙機。
今はドイツのシュパイアー技術博物館に実機が展示されてます。

Spaceshuttle BURAN

Buran on Rhine 9

…なんだかシュールな画。どんぶらこっことライン川を下って運ばれてきた。
前置きが長くなりましたが、そのBuranの激レアグッズがeBayに出品されてるのです!

SPACE SHUTTLE BURAN HEAT SHIELD THERMAL BLACK TILE

Buranがアメリカのスペースシャトルと同じようなThermal Protection System(耐熱保護システム)で設計されているならば、おそらくタイルの材質やら製法も似たようなもののはず。スペースシャトルの機体下面、黒い部分に使われているのは発泡成形された表面を"Reaction Cured Glass"=釉薬(うわぐすり)状に改質された酸化ホウ素ケイ素ガラス(パイレックス等、熱膨張率が低い耐熱ガラス)で1,260℃程度まで耐えられる。なおかつ非常に軽量で1m^3あたり140kgしかない。つまり水に浮く。
以上Wikipedia(英語版)情報。
表面を改質させるのはアブレーション冷却(材質自体が固体 -> 液体 -> 気体になることによって断熱、融解熱や気化潜熱で内部を守る)のためかな?

はい、その逸品が約6千円でございます。
買う?

この手のものに興味がない女子に話してみたら「…買ってどうすんの?」と聞かれたが、そりゃ飾っとくだろうよ。模型とか飾るだけで直接何かの役に立たないものはいろいろある。

以下オマケ。

打ち上げと大気圏再突入のとき宇宙飛行士が着用する与圧服。

RUSSIAN SPACESUIT STRIZH BURAN SPACE SHUTTLE RARE!!!!

なんだこれ?aileron(エルロン)=補助翼?主翼に付いてる可動翼の一部みたいです。

Buran Space Shuttle Large Aileron Rare
デルタ翼機など、構造上水平尾翼のない飛行機では、主翼にエレベーターとエルロン(aileron)の機能を兼ね備えたエレボン(elevon)と呼ばれる動翼を有する。
なるほど。
で、なんでこんなもんがカナダにあるんだ?

さらにオマケ。
こちらはアメリカのSpace Shuttle Main Engineのノズルのみ。

GENUINE ROCKET NOZZLE USED IN THE U.S. SPACE SHUTTLE PROGRAM MADE BY ROCKETDYNE

Rocketdyne社製のテスト機?エンジニアリングサンプル?青いペンキで何か書いてある。非売品とかそういう意味合いに見えるんですが。。。

ちなみにBuranをスペースシャトルのパクリとか言うのは実に的外れで、この有翼の宇宙往還機というアイディアは、フォン・ブラウンの師匠としてもおなじみヘルマン・オーベルトのドイツ宇宙旅行協会に在籍していたオイゲン・ゼンガーによるものらしい。
90年代にはESA(フランスが率いるヨーロッパ宇宙機関)にエルメス、日本の宇宙開発事業団(NASDA)と航空宇宙技術研究所(NAL)(当時、いずれも現JAXAに統合)のHOPEというパッと見で似たような計画はあったようです。どちらも残念ながら技術的な困難と資金難で実現しなかったけどね。

2011/09/13

今週末のイベント。

H-IIAロケット19号機の打上げ延期について(搭載機器の不適合への対応)

グラウンドに落とすべき端子が宙ぶらりんになってたってことみたいね。

それはそうと指令破壊受信機(Command Destruct Receiver)が何なのかいまいちわからない。
最初、非常時にいわゆる「自爆」するためのFTS(Flight Termination System=飛行終了システム)の一部かと思ってたら二段目に入ってるのね。H-IIB F2で実験的に行った制御落下コマンドを受信する装置?

あいや、やっぱ自爆装置のトリガーみたい。以下は奇しくもJAXA発足直後、8年前のプレスリリース。

H-IIAロケット6号機の打上げ失敗について(速報)

憧れの2024構成。SRB-Aの分離に失敗、第一段で必要な速度と高度を得られず指令破壊。

H-IIAロケット19号機による情報収集衛星光学4号機の打上げ日について

再設定。
9月17日(土)の13〜15時だそうです。僕はもうちょっと寒くなってからの20号機ねらいです。

もうひとつ。
昼間、てれとでブレードランナーやってたから見てたらイワタニのCMでH-IIAロケットの映像(C)JAXAが流れた。イワタニ=ガス=LNGならthe 仕分けで廃止になったGXロケットのLE-8エンジンじゃねえのか?と思ったらH-Iの液体水素系のころからNASDA(当時)に参画していたもよう。

日本の宇宙開発とイワタニ

侮れねえな。ホースノン。

なりゆきまかせ。

こんばんは。にわかロケットファンです。
おまえ誰だーーー!?と叫ばれる前に自己紹介しなければいけません。ここにあったカステラを食ったやつは誰だーーー!?

twitterで細々とロケット関連の情報を見てたらいろいろネット上のリソースあたれるということに気づいちゃったのでまとめてみることにしました。 英語ならなんとか。フランス語とかロシア語はGoogle翻訳経由でどうにか。

思えば機械が好きな子供ではありました。最近まで。

JAXA全面協力!ドラマ8「ふたつのスピカ」


「ふたつのスピカ」実写ドラマ化

それが、このドラマ見たらもうねーもう、なんていうか青臭い青春ドラマに必要な要素すべて盛り込んであるんですよ。それぞれが期せずして背負わされた生い立ち、家族との軋轢、友情、努力、競争、挫折、別れ。将来への不安。子供なりのせまい世界観。
勢いあまって2010年5月にJAXAの種子島宇宙センターまでH-IIAロケット17号機(ペイロードは金星探査機あかつき、小型ソーラーセイル実証機イカロス)の打ち上げを観に行っちゃいました。まあ天候不順で3日延期になって2日後までしか日程おさえてなかったので見られなかったんですが。その後2011年1月のH-IIB 2号機(こうのとり2号)は無事に観られました。

ロケットは見とくといいですよ。興味の有無にかかわらず。
僕が見たのは長谷展望公園という南種子町の公式展望場でH-IIBの大崎射場吉信第二射点から直線距離で6km以上あるところなんですが、あの距離から見てあの大きさのものがあの速度で上がっていかないと振り切れない地球の重力の強大さを量感的に体感できるイベントはそうそうないでしょう。

このブログは僕が地球周回軌道に到達したら終了です。もしくは飽きたら終わり。

Deltaの家族たち。

最初のエントリーでDelta IIの打ち上げ動画を紹介しました。日本のNASDA(当時)が開発したN-IIとH-Iも、そのDelta IIと共通の先祖を持ちます。
無音で眠くなるという珍しいロケット動画。





舶来のStrap-on Booster(固体推進剤補助ロケット)Castor IIの9本構成と分離方法は似てるけど燃焼シーケンスが若干違う感じ。H-Iは9本全部同時燃焼してるのに対してN-IIは回転対称の3本を1セットにして時間差で燃焼してる?

なんにしろ燃焼終了後9本まとめて花が開くようにjettison(分離)していくあたりに芸術点を求めちゃうのが日本らしくていいと思う。

こんにちはデブリ。

NASAの上層大気研究衛星UARS(Upper Atomosphere Research Satellite)が落ちてくる。

衛星の破片、落ちるかも 人に当たる確率3200分の1

地上からロケットで上げたんじゃなくて、ディスカバリーで持ってって軌道上で放出された幸せな衛星。
軌道傾斜角57度ってどういう軌道だ?ISS(国際宇宙ステーション)が51度で離心率も同じようなもん。なぜこういう軌道なのか必然性がよくわからない。より高緯度も含めた観測なら極軌道の方が有利なんじゃん?
ところでこれ世界の環境トピックのメインがオゾン層だった時期に打ち上げられて運用してた衛星なんだね。いまどき誰もオゾン層なんて言わなくなっちゃったよ。とくに低緯度の有色人種が権力を持ってる国では。

極端に低い確率のハズレ引きがちなんで気をつけます。。。

2011/09/12

Delta II with GRAIL.

ケネディ宇宙センターのすぐ隣、ケープカナベラル空軍基地から双子の月探査機GRAILを載せたDelta IIロケットが打ち上げられた。初速…とは言わないか、リフトオフ直後の加速がすごい!



日本のN-IIやH-Iと同じ9本の固体推進剤ブースターが圧巻。しかもリフトオフ時は9本のうち6本だけ点火、t=+80sec近辺で3本ずつ2回に分けて分離と同時に残りの3本に空中点火!この時間まで光学的に捕捉できてるのもすごい。