2012/11/10

2012年、内之浦。

ご無沙汰してます。
最近、私生活が…えーと、あまりにも何もなかったものでほったらかしになってましたが。

JAXA|内之浦宇宙空間観測所

ここの一般公開があるので鹿児島に来てます。あと糸川博士生誕百周年記念式典。
はやぶさを載せたΜロケットを上げたことで有名な旧ISASの施設。

初日は8:10に羽田発 -> 10:00ごろ鹿児島着、の着陸態勢に入ったところで左手に見える桜島が噴火。西方面(大隅半島=鹿屋とか内之浦の方)へ盛大に噴煙が流れていきました。

で、いつもは空港から高速バスで約1時間、1,200円で鹿児島市内へ向かうのですが、またこれも芸がないというか旅っぽいことしてみようと思い立ったのが、ここまできたら電車乗ったれと。こないだフェリー乗るのに指宿枕崎線という電化されてない鉄道に乗ったのがいかにも旅情って感じだったので。
さてiOS 6の地図で最寄りの駅…が、ない。こういうときのためのMapion見たら空港から約4.6km、徒歩1時間のところに中福良という駅があることが判明。なかふくら。そもそも地名が読めない。
空港の滑走路を横断する地下道を抜けて東側へ。西側は開けてるけどこっちはちょいとした茶畑がある程度。
そんでMapion様は「森の中へ入っていけ」と指示なさる。え、水戸黄門のロケ地巡りみたいなことになっちゃいますよコレ。

で、一応舗装してある獣道+(けものみちプラス)程度の雑木林の坂を数十分降りていってもいまだ第一村人発見できず。もうしばらく歩くと軽トラのおっさんが往復。さらに行って少し開けた、人が住んでる集落に出る。左手に小学校。人…の声はすれども姿が見えず。地形的な意味で。その先の三角ロータリーみたいなところを右へ。
ここでついに事実上の第一村人に遭遇!いかにも地元、軽に乗ったおばちゃん
「どこいくのー?」
「え、えーと、駅…を」
「何駅?」
「なか、なかふくら?」
「中福良はね、そこ右いって左の橋渡った向こう!」
「あ、ありがとー。」

右行くのはだいたい見当がついたんだけど橋なんかねえぞ。さっきと同じような山道に入っちゃうだけ?
Mapionは「おーい通り過ぎたぞボンクラ」的なことをやんわりとおっしゃる。地図と眼前の地形をよーく見比べると「橋」…って、この左?


大きな地図で見る

…まあ川?を渡ってるから橋ではあるわな。崩れそうだから4t車以上は通るなって書いてあるけど。というか普通車は通れないだろう幅的に。
そこから20mほど進むといきなりホーム。駅というのはあくまでも自称で、どう見てもホーム。百歩譲って停車場。電化されてないから架線もない。ホームと線路、あとこれも自称待合室というゴミのないゴミ置き場か大きめの犬小屋ぐらいの非現住建造物がひとつ、あと鉄道運行に必要と思われる機材が野ざらし。

ここまでの道のりは以下のような感じ。


大きな地図で見る

で、ここに着いたのが13時ちょっと前。おそらく1時間に1本ぐらいあるよね?と思ったら、すぐに目的地と反対方向(北へ向かう -> 上り?)の電車、じゃない気動車?がきた。もちろん一両ワンマン運行。思えばこのとき北(人吉方面)に乗っちゃって戻ってきてもよかったのだ。だって、次の南(鹿児島方面)行きは14:38で1時間半以上待たなきゃいけなかったんだから。

中福良駅
2010年度の1日平均乗車人員は7人である。
…でしょうね。
ホームのこっちも山、向こうも山。横には民家が数軒あるのみ。商業施設どころか自販機すら皆無。天気いいからぼーっと空を見上げてるとPeachの767が横切る高度500mぐらい下を巨大なスズメバチも飛び交うまさかの自然とビジネスの大コラボレーション。

何か音がしてないとおかしくなりそうだったのでradikoつけてみたらこんなとこでも聴ける。ただし日本全国津々浦々のラジオルールに則ってパーソナリティはご当地タレントなので誰かわからん。
で1時間ぐらいぼけーっと、いつになったら人に会えるのかなあ、などと思ってたら踏切がカンカン鳴りだした。時刻表にはない列車がくるみたい。一応、撮り鉄のまねごとっぽくカメラでも持ってみよう。あ、これあきらかに通過だわって速度で走ってきたのがコレ。

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肥薩線中福良駅を通過する特急「はやとの風」
薩摩隼人の隼人ですね。というか肥薩線が肥後もっこすと薩摩隼人、で南の終点は隼人駅。

そのあともうしばらくホームを何往復かうろうろしてると、やっときた乗れる電車。じゃない線路の上を走る何か。こちらももちろん一両でワンマン、どこから乗るのかわからなかったら後ろのドアが開いて整理券を取る方式。後乗り前降りの後払い。川崎市営バスと同じ。
で、乗って走り出したらまたこれが森とトンネルばっかり、横の木の枝にバチンバチン当たりながら文字通り走破していくわけです。車両のサスペンションも昔みたいなチューニングで、いや実際型式として古いんだろう30年前の東武日光線より揺れる揺れる。陽射しのある昼間にiPhone 4Sで車内の料金表を撮ろうとするとブレて字が読めないくらい揺れる。僕これ何か食べてたら豚になっちゃって、娘の名前が千…こういうのはいいか。

で、20分ほどで隼人駅に到着。ここで日豊線(にっぽう:日向 -> 豊後)に乗り換え。ここは電車。でも整理券をそのまま持ってって鹿児島中央で清算しろと。

鉛色の海沿いを40分ほどかけて、やっと鹿児島中央に到着。持ってるのは前述「うらが白いきっぷ」ですらない整理券だけなので窓口で精算、運賃820円。

もう疲れたから宿にチェックインして昼寝しよう、というところまでが初日でございました。
明日はレンタカーで大隅半島、鹿屋・肝属町方面へ向かうよ!

2012/09/12

The Second Coming of イカ坊!

IKAROS
小型ソーラー電力セイル実証機。

僕が初めて種子島に行ったときのお目当て、H-IIAロケット17号機で金星探査機あかつき(金星周回軌道投入に失敗、運用中)と一緒に打ち上げられた、…探査機?技術実証機。打ち上げの2日後までスケジュールおさえてたのに天候不順で3日延期、東京に戻ってからニコ生で見たという。。。

当初の半年で予定されたミニマムサクセス、フルサクセスをすべてクリアして、エキストラサクセスすらパーフェクトに完了した近年まれに見る成功プロジェクト。イカ坊というキャラクターを用いたパブリシティも一定の成功を収めた。

IKAROSの冬眠モード移行について

それが今年1月6日に冬眠モードに入ってからも、もちろん軌道要素は把握できてたわけです。

冬眠からさめたらビーコンを送ってくるようになってた。
じゃあ、その信号(電波)を探せばいいわけだ。例の臼田宇宙空間観測所の直径64mのパラボラアンテナで。

ところで、ちょっと考えてみてほしい。
たとえば300mmのレンズで月や太陽を撮ろうとすると、被写体を見失うことがたびたびある。
太陽より向こうにある、ほんの20m弱の人工惑星からの弱々しい電波を見つけるのがどんなに難しいことか。

あのうすださんをもってしても。

~翼を広げて~ IKAROS(イカロス)専門チャンネル
2012年9月10日[更新] 
IKAROSの冬眠モード明けについて

執念。
冬眠モードの間もデータは取り続けていたみたいだから、状態が確認でき次第、テレメトリ取得できる見通し。

いろんなものに人生を懸けている人がいる。

2012/08/26

筑波宇宙センター

行ってきました。

120819TKSC

Back to the Moon.

大いなる飛躍の人。

アームストロング船長死去、アポロ11号で人類初の月面着陸

アポロ11号のアームストロング船長、82歳で死去 人類初の月面着陸

初の月面着陸、アームストロング氏が死去-米アポロ11号船長

2012年8月現在で存命の"Moon Walker"は以下の8名。軒並みアラサン(傘寿近辺)ですね。
バズ・オルドリン (82)
アラン・ビーン (80)
エドガー・ミッチェル (82)
デイヴィッド・スコット (80)
ジョン・ヤング (82)
チャールズ・デューク (77)
ユージン・サーナン (78)
ハリソン・シュミット (77)

世代的に月へは行っていないジョン・グレン(91)も存命だし、亡くなったとはいえアラン・シェパードにいたっては軍艦の名前になってるぞ!

アラン・シェパード (補給艦)

2012/07/18

あじ☆かん!

種子島の街角政治的看板(略称アジカン)写真集をflickrにupしました。厳選の96枚。

ajikan

2012/07/08

H-IIB F3の可能性について。

JAL調べ。

JAL1861 羽田発 06:20 -> 08:00 鹿児島着
JAC3761 鹿児島発 09:30 -> 10:10 種子島着

11:18(JST), H-IIB 3号機打ち上げ

JAC3774 種子島発 18:00 -> 18:35 鹿児島着
JAL1878 鹿児島発 20:15 -> 22:00 羽田着

中種子の空港までレンタカー迎えにきてもらえば理論上は可能。…空席さえあれば。

2012/06/17

神舟9 on 長征2F/F10

サンダーバードみたい。



中国、「神舟9号」の打ち上げは明日19時37分

無事に上がったようです。どっかネットで生中継してたんだろうか?

H-IIA/BのSRB-Aみたいに見えるブースターはヒドラジン+四酸化二窒素のLiquid Rocket Boosterなんだね。開発中の長征5系はメインエンジンが液体水素+液体酸素、ブースターにケロシン+液体酸素の組み合わせになる予定。

中国初の女性宇宙飛行士、劉洋(Liu Yang)は元空軍のパイロット。
言わずと知れたワレンチナ・テレシコワは女性初というだけでなく、当時のソ連で(!)文民(非軍人)初の宇宙飛行士という意味でも画期的だったのです。

無事に帰ってこいよ。

2012/05/31

自由への飛行。

John Glennに"Medal of Freedom"(自由勲章)が授与された。

今日の写真でひとこと。
「わしゃあんたが生まれる前からの宇宙飛行士だ」

NASA - John Glenn Given Medal of Freedom

John GlennがMercury計画の"Friendship 7"でアメリカ人として初めて地球周回軌道に乗ったのが1962年2月20日。
1961年8月4日、バラク・オバマ誕生。

あながちうそではない。

ジョン・ハーシェル・グレン略歴
元海兵隊、空軍の戦闘機パイロット -> テストパイロット。1957年、超音速戦闘機で初めてアメリカ大陸横断。NASA発足直後のマーキュリー計画で宇宙飛行士候補として選ばれたMercury7 = The Right Stuffの一人(海兵隊からは唯一)。後に連邦上院議員…から、さらに御年77歳にしてSpace Shuttle Discovery STS-95で再び宇宙へ!(このときの「主治医」が向井千秋)

2012/05/18

TNSC (Mid 2012)

まずは初日だけ。

5/16
6:30ごろ 自宅出発 東急田園都市線 -> JR山手線 -> 東京モノレール
9:10 羽田発 -> StarFlyer
11:00 福岡着 -> 福岡地下鉄空港線
12:00ごろ AppleStore, Fukuoka Tenjin着 -> 西鉄バス
13:00ごろ? -> 博多駅着
14:09 博多発 -> 九州新幹線 さくら
15:44 鹿児島中央駅着 -> JR指宿枕崎線
16:46 坂ノ上駅着 -> 徒歩
17:30ごろ 鹿児島港(谷山港?七ツ島?) -> フェリーはいびすかす
18:00ごろ 鹿児島港発
21:45ごろ 西之表港着
22:00ごろ エブリワン西之表店 -> 徒歩
22:20ごろ 安宿にチェックイン

16時間ぐらいでへこたれてられん。バイコヌールやギアナはもっと遠いのだ…。

IMGP5097

2012/04/28

スペースシャトル、今度こそ最後のフライト?

おんぶ on Boeing 747で、星条旗と自由の女神をかすめるようにニューヨークの空をゆく。



僕ら素人が「スペースシャトル」と呼ぶ、飛行機みたいな形をした軌道周回機(Orbiter)は全部で6機。Discoveryがスミソニアン博物館に展示されることになったので、それまで同所にあったEnterpriseはニューヨークのイントレピッド博物館へお引っ越し。
イントレピッド海上航空宇宙博物館は、太平洋戦争で日本軍の魚雷や二度の神風特攻を受けながらも沈まず、また朝鮮戦争でも再就役した空母イントレピッドが退役したあとマンハッタンに係留して博物館に転用されたものなんですって。でけえ。
これ僕ら日本人だと傍観者の域を出ないけどもアメリカ人が見たら誇らしい光景なんだろうね。

一方ロシアはイカダで運んだ。

Pictures of Russian Space Shuttle Buran floating down the Rhine

うそ。これ機体自体はロシアのBuranだけどドバイかどっかに展示されてた実験機をドイツのシュパイアー技術博物館まで運ぶとこだからロシアあんまり関係ない。

The Road to TNSC.

来月半ば、四回目の種子島に行きます。

いつか種子島完全攻略サイト作ってやろうと思ってるのですが、その素材として断片的な情報を書きなぐっていこう。僕自身が関東在住なので出発地は羽田を基準にします。

まず交通手段について。
時間的に最も早いのは以下のAコース。所要時間は乗り換えを含めて3時間強〜4時間。
羽田 -> 鹿児島空港 ¥9,870(ソラシドエアー)〜¥39,070(JAL,ANA正規運賃)
鹿児島空港 -> 種子島空港 ¥5,800〜¥8,500(JAL)
ただしこのプランはおすすめできない理由がふたつある。

1.ロケットを見に行こうとすると、打ち上げ日時が発表された時点ですでに空席がない。(官僚や政治家の視察を含む関係者は事前に席を確保できるため)
2.空港がある中種子町に降りたところで立地が不便。タクシーかレンタカー屋さんが迎えにきてくれないと身動きが取れない。
3.せっかく種子島に行くのに旅を楽しめない。

なのでこれは第一候補には挙げられません。
少し余裕を持った日程で、帰りならいいかも。ボンバルディアとかサーブみたいな小さい飛行機に乗れるから楽しかろう。それでも僕は帰りに鹿児島市内をフラフラしたいので。

次。
現実的な時間で最も安く行くBコース。
羽田 -> 鹿児島空港 ¥9,870(ソラシドエアー)
鹿児島空港 -> 鹿児島港 ¥1,200(高速バス
(指宿枕崎線)
鹿児島港北埠頭 -> 種子島・西之表港 片道¥3,000 往復割引で¥5,400(フェリー・はいびすかす
これだと羽田発から14時間半ほど。飛行機は一番安い早朝のじゃなくてもうちょっと出せば総行程8時間弱ぐらいまでは縮められる。船は種子島の首都(笑)西之表港に入るので*、移動も便利。鹿児島港は桜島の目の前なので旅情もそれなりに。でもホテルのチェックインが22時とかになっちゃう。

*島間港に入るフェリーもあるので注意!あの近辺はレンタカーでドライブには最高ですが島外の人がいきなり港に入っても移動が不便です。

空港から港へ行く高速バスは、空港を出たところにいきなりバス乗り場があるし、「高速船ターミナルに行くバスはここですか?」「はい〜、次あと10分ぐらいでくるのは港まで直行ですよ」なんて感じでみなさん親切に教えてくれるから心配無用。

おすすめはBコースをアレンジしたコレ。
羽田 -> 鹿児島空港 ¥9,870〜(お好きな飛行機で)
鹿児島空港 -> 鹿児島港 ¥1,050?(高速バス)
鹿児島港北埠頭 -> 種子島・西之表港 片道¥7,000 往復割引で¥12,600(高速船ロケットトッピー
高速船はボーイング929という飛行機会社が軍艦からの応用で作った水中翼船。日本で就航してる個体の多くは三菱重工のライセンス生産かも。なんとなく予約したら港に入ってきた方に乗るというのどかな相互運用体制。でもシートベルトや電波を出す機器の使用については飛行機なみにうるさいし、たまにクジラ轢いたり流木が漂着して止まる。
これに乗ると、しばらく前に出港したフェリーを追い越していく…その上を飛行機が追い越していくというヒエラルキーに組み込まれていることを実感できる。

概算すると安く行こうと思えば交通費は往復で3万円弱。あと現地での宿泊はシングル素泊まり5千円程度から、レンタカーが1日4〜6千円程度。

ここまで書いといてアレですが旅に不慣れだったら旅行会社のパッケージ申し込んだ方が簡単かも。

種子島ツアー|オリオンツアー

しかも自分でバラバラに手配するより安いという。。。
今日はここまで!

2012/04/22

捕まえて食え。

トッピー vs 鯨。

高速船で5人けが くじらと衝突か

鹿児島商船の屋久島行き高速船、ジェットフォイルことボーイング929がまた事故。
2006年にかなり大きな被害の事故と、あと2010年の5月にもイルカだか何かを轢いたことがあったと思う。というのも、そのとき僕は初めて種子島に行っていて、ちゃんと本土に帰れんのか?と思った記憶があるから。

というわけで予告。

JAXA|しずく特設サイト

H-IIA F21の打ち上げ見に行きます。まだnight launchを見たことがないので。ペイロードがGCOM-W1なら投入する軌道が決まってるので延期してもも夜の打ち上げということは変わらない。18日というか17日の深夜ですね。21日の金環日蝕も見られるかな?

いままでは毎回

羽田 -> 鹿児島空港(JAL)
-> 鹿児島港(高速バス)
-> 種子島(高速船)

こういう行程だったんだけども、これは旅行社に丸投げしてたからであって(だって安いんだもん)、今回の往路は

羽田 -> 福岡空港(スターフライヤー)
-> 博多駅(福岡市営地下鉄)
-> 鹿児島中央駅(九州新幹線)
-> 鹿児島港南埠頭近辺(JR指宿枕崎線)
-> 種子島(フェリー)

こういう感じで行ってみようかと計画中。帰りはいつもと同じ、ただし飛行機はJALじゃなくソラシドエアー。

2012/04/12

あの飛翔体についてのメモ。

北朝鮮の銀河三号について。

射場・射点設備等を含めてモノ自体は完全にロケットそのもの。日本の歴史に準え(なぞらえ)るとNASDA初の実用液体推進剤ロケットN-Iあたりか。

ただしミサイルはロケットの用途に包含される。周回軌道やその先へ宇宙機を運ぶのがロケット、いっぺん高高度まで上がってく途中で精密誘導して弾頭を目的地に落とすのがミサイル。

また「平和目的」であっても2009年6月の国連安保理決議1874号に明確に違反する。

管制がシンプルなのは、とりあえず衛星は周回軌道に到達しなくても写真が1枚でも送られてくれば外交的にはミッション成功だから。か、飛ばしたら後は知らないか。余談だが、管制エンジニアらしき人が着てる白衣の背中がまっすぐ縫えてないことにちょっと驚く。

日本の旧ISASが2013年度に初号器の打ち上げを予定しているイプシロンロケットもきわめてシンプルな発射管制をめざして開発中。

推進剤は一部で流れているヒドラジンと四酸化二窒素(酸化剤)という情報はおそらく誤り。もともとノドン、テポドンがナチスドイツのV2 -> ソ連のR17(いわゆるスカッドミサイル) -> 世界各地に輸出されたうちエジプト版を購入してリバースエンジニアリング、という流れを踏まえて、かつ燃焼炎の色を見ると炭化水素系(ケロシン)と赤煙硝酸+四酸化二窒素の組み合わせとみるのが妥当。
(※もっとマニアックな言及するとTM-185/AK27という組み合わせだそうです。)

衛星はおそらく本物。以下の民間商用衛星が外観を含めてそっくり。
ただし三軸制御系を含めて完パケで韓国企業から買ってきたものの可能性が高い。

SI is the leading small satellite developer

MSN産経フォト

四角柱の本体の側面のうち3面に実装された太陽電池が打ち上げ後に一平面上に展開する。残りの1面、メディア向けには見せていない面に光学系、つまりカメラ。この組み合わせは降交点通過地点太陽時が正午前後の太陽同期軌道に投入できれば太陽電池を太陽に向けてカメラを地上に向けられるレイアウト。
その軌道を目指すとしたら打ち上げ時刻は午前10時20分ごろのはず。はい、鋭い人は気づいたかもしれませんがH-IIA F20で上げた情報収集衛星レーダ3号機(IGS-7A)と同じような軌道ですね。

実用衛星で1m^3/100kg程度のものは最小クラスだが他にも例はある。

Earth Observation, Telecommunications & Navigation Satellites and Training Products - SSTL

こちらはイギリスのサリー大学から独立した民間商用衛星メーカー。ドイツのRapidEye社へ販売した機体をウクライナのDnepr(ドニエプル)ロケットで上げた映像がコチラ。



参考と謝辞:松浦晋也氏、野尻抱介氏

【特集】一からわかるミサイル防衛

2012/04/09

箴言。

「ニール(=アームストロング船長)は人類で初めて月面に降り立った男かもしれないが、私は人類で初めて月面で小便を漏らした男だ」(バズ・オルドリン、アポロ11号で月面に着陸した宇宙飛行士)

2012/02/22

宇宙メガンテ?

各種周回軌道上のゴミ、スペースデブリを捕まえて大気圏に再突入させるスイス発の人工衛星案。

Cleaning up Earth's orbit: A Swiss satellite tackles space debris

動画で一目瞭然。
おそらく技術的には可能だと思うがコストがどうか…。



スペースデブリ space debris
静止軌道(GSO)みたいに傾斜角や高度が一意に決まる軌道ならともかく、似たような高度を傾斜角だけ違う軌道が交差してたりするとぶつかって壊れて、また新たなデブリまき散らしてしまう。なにしろ対地相対速度で2.8万kmだ。

太陽活動の活発化で宇宙ゴミが減少?

…自然に落ちるの待ってるわけにもいかないし。落ちるより増えるペースの方が早いもの。

2012/02/21

大中華双子座計画。

NASAにおけるジェミニ計画あたりまできましたね。

中国、夏に有人宇宙船打ち上げ…ドッキング実験

天宮国際宇宙ステーションにおけるZaryaZvezdaに、神舟Soyuzに相当すると思えばおおむね合ってるかな。どちらも中国の完全オリジナルではなくて一部ロシアの設計を踏襲している。

んでまたこれを上げる長征2ロケットのキメラ感が…おっと、これはまた別の機会に。

2012/02/14

H-IIA F21は夜の打ち上げだ!たぶん。

文系宇宙工学研究所の金木犀さんが「しずく」、なんだかとっても夜打ちの気がするよ?とtweetしてるのを見かけて、ちょっと考えてみた。

H-IIAロケット21号機による第一期水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W1)および韓国多目的実用衛星3号機(KOMPSAT-3)等の打上げ計画概要

この資料をどう読んだら打ち上げ時刻が夜間と推定できるのか。
ポイントは二点。

1.軌道傾斜角 98.2度
2.昇交点通過地方太陽時 13時30分

これだ。

軌道傾斜角98.2度ということは種子島から南向きに飛ばして南極を回って地球の反対側をタテに通って北極を経て戻ってきたときには少し西へずれてる。(周回するたびにずれていって、約46日で約669周して同じところに戻ってくる…のか?こないだ運用を終了した赤外線天文衛星「あかり」も陸域観測技術衛星「だいち」も大体このあたりの同じような太陽同期準回帰軌道を回ってたみたい。)

昇交点は、黄道(太陽の見かけの通り道≒地軸の傾きを無視すれば地球の公転軌道=太陽系の地平線?)を衛星が昇るとき(相対的な位置関係としては月の出?)の現地時刻だから、日本から南に向かって打ち上げる直後に通る降交点から12時間ほど時差がある計算になる。つまり、地球の反対側、西経135度ぐらいのところを現地時刻で13時半に昇ってくるということは、逆算してその約12時間前に南へ降りて行く少し前の時刻に種子島から打ち上げる計算になる。

…わかる?
っていうか合ってる?

European Advanced Vector Generation.

イタリアの新作VEGA(=Vettore Europeo di Generazione Avanzata)ロケットが初飛行に成功したようです。



イタリアの、って書いたけど開発主導がAgenzia Spaziale Italiana = Italian Space Agencyということであって、実際の運用はESAとアリアンスペース社。フランス領ギアナ宇宙センターから、例のフランス語で緊張感のないカウントダウン。
この規模のロケットとしては離昇が若干遅い印象は受けるものの順調に飛んでった。さすがイタリアだけあって(?)事前に用意してある飛行イメージCGがカッコイイ。

1〜3段目は固体推進剤、最上段の4段目がヒドラジンの液体推進剤。1段目は次期Ariane 5のSRB(固体推進剤ブースター)としても利用される予定。

計画の背景や規模を考えると、日本で言うところのJ-I(NASDA)とかΜ(ミュー)系(ISAS)みたいな位置付け?ISAS系の次期固体ロケット、イプシロンの初号機を上げるときは内之浦まで見に行かねば。

2012/02/06

Going to the Moon, as an adventure.

誰かの芸がもう いま君のものでも
それを嫌えば僕らだって矛盾してくる。

“115億円の月旅行” 1人購入

売れちゃった。
さて、じゃあプロトン(ロケット)とソユーズ(宇宙船)改造して人を月周回軌道までぶん投げるアトラクションでっち上げなきゃいけないゾ。



Space Adventures : Lunar Mission
Space Adventures - the only company to have sent private citizens to space
ロードブリティッシュがソユーズでISS行って帰ってきたのも、この会社が斡旋してたのかな。

アポロ計画のころソ連が無人試験飛行をくり返してたSoyuz L1(ソユーズ・エル・アディン)の再利用みたいです。地球周回軌道から遷移軌道を経て月を周って帰ってくるだけ。月面着陸はナシ。
この計画での大きな収穫は「人間は20G(地上の20倍の重力加速度)がかかっても死なない」ということだな。結果的に人体実験のようなことになってしまったわけだが。

オマケ。
当時もの。

Original Soviet Russian Berkut (Golden Eagle) spacesuit, circa 1960s. RARE

1965年にソ連のアレクセイ・レオノフが人類史上初のEVA = extravehicular activity(船外活動)を行なったときに着用していたものと同じタイプ、わずか8着しか作られなかったオリジナルのうちの一点だそうです。日本円にして約400万円。支払い方法はPayPal不可、要相談。

2012/02/01

ヒヤリハット案件。

あわや北京を直撃だった 昨年10月落下のドイツ衛星

Fly Me to the Orbit!: 落ちてくる日常。で言及したドイツのX線観測衛星が、もうちょっとでインド洋を通りすぎて北京に落ちるところでした、という話。

大気圏再突入直前のROSATの軌道要素は以下の通り。

2011年10月22日(土)22:54:52(協定時)
Eccentricity(離心率): 0.0003875
Inclination(軌道傾斜角): 52.9649°
Perigee height(近地点高度): 137 km
Apogee height(遠地点高度): 142 km
Right Ascension of ascending node(昇交点赤経): 145.045°
Argument of perigee(近地点離角): 266.7349°
Revolutions per day(一日あたりの周回数): 16.49742883
Mean anomaly at epoch(平均近点角): 93.8309°
Orbit number at epoch(周回数): 19460

この件について知人と話す機会があったので。

「こんなにしょっちゅう落ちてくるもの?昔から?」

ええ、昔からなんです。ただ、数年前の食品異物混入みたいに社会の関心事になると一般の商業マスメディアが取り上げるから、頻度が増すように感じるのかもね。

2012/01/18

今度こそタッチダウン?

なんだかいまいちすっきりしないのは、理学ミッションがはっきりしているのに対して、工学的チャレンジが手薄な感じがするからかな。

「はやぶさ2」、14~15年に打ち上げへ

もともと先代のはやぶさが「工学実験機」だったことを考えれば方向性としては正しいんだろう。
で、それをH-IIAでTNSCから上げるの? 2014年なら内之浦からイプシロンが上がるでしょうよ。

深宇宙探査について忘れちゃいけないのは、探査対象の天体と地球のどっちも公転してるから、ほとんどの場合で、位置関係が「いい」タイミングでの打ち上げをめざしてプロジェクトが進行しているということ。たとえ予算が不透明であっても。一度それを逃すと次のチャンスは2年後とか、ことによると16年後とかそういうスケールで動いてるんです、宇宙は。人間の営みとは違ったタイムスケールでね。

一方でIGS(情報収集衛星)とQZSS(準天頂GPS補完衛星)の「ヒモつき予算」はしっかり確保されるみたい。すぐ役に立つNASDA系に偏りすぎ?ISASがんばれ。日本の宇宙開発の歴史を作ってきたのは「開発事業」だけじゃない。数年前まで別の組織だったとはいえ「宇宙科学」と両輪のバランスの上に成り立っているのさ。

おそロシア。

安全に落ちました。残念ながら。

ロシア探査機の破片、チリ沖の太平洋上に落下

ロシアの火星探査機「フォボス・グルント」、太平洋上に落下

On the situation with the spacecraft "Phobos-Grunt"

Roscosmosのサイトは基本的にロシア語、だがGoogleで英語にするとそこそこ読める。どの程度の翻訳精度なのかは不明。。。

探査機失敗は米国のせい?=レーダー放射原因と報道―ロシア

ロシアに中国が相乗りのプロジェクトだからアメリカ的には落としてやりたいと思うかもね。
でも今回うまく点火しなかった上段のロケットモーターFregatは地上からのコマンドじゃなくて自律的に機能するものだ。そもそも点火する時点でロシアの管制からは光学的にも電波的にもロストした位置を飛んでるはずだし。
高度400kmを時速28,800kmで飛ぶ物体に、きわめて強い電磁波を集中的に浴びせることが可能であれば半導体の誤作動を誘発することは技術的にはありえるかも?

…どこも責任者の立場はつらいねえ。

2012/01/14

カウントダウン。

Roscosmosは英語の情報が少ない。

On the situation with the spacecraft "Phobos-Grunt"

Googleで露 -> 英に翻訳するとそこそこ読めるね。
地上管制からのコマンドに応答しないから大気圏再突入も制御不能、ただ高度が下がって落ちてくるだけ?軌道傾斜角51.4度だから北緯51度から南緯51度までの広範囲に落ちる可能性があるものの、当のロシアの国土はほとんどその中にないのが皮肉。
まあ推進剤のヒドラジンは燃え尽きるだろうから化学的な毒性は心配しなくても大丈夫。

ロシア探査機の最期、肉眼で観測可能?

願わくばサンプル持って帰ってきたカプセルを見たかった。

ロシア探査機落下、15日~16日の見通し……日本含む広範囲に破片落下の可能性

火星探査機 15日ごろ落下か

打ち上げ失敗のロシア探査機、15―16日に地球落下へ
ロシア宇宙庁の責任者は、10日付の地元紙に掲載されたインタビューで、「他国からの妨害工作の可能性もある」と釈明している。
あんたんとこが政治的な思惑で中国の蛍火1号のっけるために急遽仕様変更して推進剤増槽あとづけしたのも関係あるかもよ。

現在地を渋谷に設定してみた。予想時間内に日本上空も何度か通るもよう。

01:26, Jan 15
18:38, Jan 15
0:45, Jan 16

JAXAが公表してる試算とはだいぶズレてるからあんまり参考にならないや。

ロシア探査機「フォボス・グルント」の落下に関する情報について:文部科学省

文部科学省がFacebookを使う意味って何だろう。。。

34年前の宇宙。

かなり記憶が曖昧なのですが、逆算するとまだ僕は小学校に入る前ですね。



今で言うところのお台場みたいです。ガンダムが立ってたとこか?当時は晴海埠頭の方だと思ってた。交通機関は品川からバス!で15分!

日本財団三十年の歩み 本史 3.宇宙科学博覧会

で、これを見て一番驚いたのが、会場に展示されていたロケット(実物?実物大試験機?)の中でも物理的にも存在感もひときわ大きかったサターンは、アポロを月へ運んだサターンVではなくサターンIBだったということ。

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サターンV

全高 110.6m
直径 10.1m
重量 3,038,500kg

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サターンIB

全高 68m
直径 6.6m
重量 589,770kg

(いずれも日本語版Wikipediaより)
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でーーーけーーーーーーー!と思ったことだけ憶えてたのに、アメリカン規格のフルサイズじゃなかったとは。。。まあサターンIBもH-IIBより大きいから大型ロケットの部類ではあるわけだ。
つまりサターンVの方がどれだけ常軌を逸したデカさか、ということですよ。ツィオルコフスキーの公式を考えるまでもなく、ロケットはその機体自体の質量が大きくなるほど全体に占める推進剤の割合が高くなる。実際、サターンVの一段目エンジンS-IC(5*F-I)は2,000t≒50mプール一杯分のケロシンをわずか2分半で燃やし尽くす、人類史上最高出力の機械であり、若干強引だが単位を換算すると約1億6千万馬力に相当する…らしいよ。

事実上、日本船舶振興会(当時)主催だったみたいですね。
高校んとき同じ学年に笹川良一の孫がいたのは、まあ別の話だ。

2012/01/05

わーなー・ぼん・ぶらうん。

ご存知の通りWW II終戦後アメリカに渡りアポロ計画を指揮した男。

ナチスドイツでV2ロケットを開発していた、そして失敗を重ねていたころの貴重な映像。also known as ヴェルナー・フォン・ブラウン。

2012/01/03

とうちゃくー!Going to the Moon.

去年の9月にこのblogを始めて最初のエントリーで書いたNASAの月探査機GRAILが無事に月の周回軌道に乗ったもよう。推進剤を節約(観測開始してからの超寿命化)すべく、ずいぶん遠回りしてやっとたどりついたようです。

NASA's Twin Grail Spacecraft Reunite in Lunar Orbit

グレイル - 月探査機 - 月探査情報ステーション

GRAIL AとBの双子の探査機が月の重力を精密に観測するよ!