2013/02/03

40秒の命。

Sea LaunchのZenit-3SLが落ちました。
リフトオフから約40秒後にメインエンジン停止、そのまま海上へ落下。

Sea Launch Experiences a Launch Failure on Intelsat 27 Mission

まずSea LaunchとZenit-3SLの復習から。
通常ロケットは地上から打ち上げます。その場合、地理的(あるいは気候・気象的)な制約を受けることが多い。Sea Launchは射場設備一式まるごと移動できる司令船"Commander"と石油プラットフォームを改造した"Odyssey"からなる。カリフォルニアから赤道直下まで南下すれば、通信衛星など対地同期軌道(静止軌道)へ投入するペイロードならかなり有利な条件で発射できる。

打ち上げるロケットZenitは、もともとBuranを載せることもできるエネルギアロケットの補助ブースターとして設計されたケロシン+液体酸素のロケットエンジンを、単独でロケットとして打ち上げられるように発展させたもの。
そのファミリーの中でSea Launch用に最適化したのがZenit-3SLだそうです。

ゼニート3SL、インテルサット27の打ち上げに失敗



さて。
ペイロードは静止軌道に投入するIntelsat 27(通信衛星)だから東へ向かって打ったはずが、どうやら南へ飛んでっちゃったと。トラジェクトリ(予定される飛行経路)を大きく外れたため、自律的に燃焼停止?(推進系に問題が発生したら圧力異常が生じて爆発する)、この時点で通常は指令破壊(地上管制から破壊コマンド送信 -> 自爆)するところ、安全に破壊するには高度が足りなかったためそのまま落とした、ということなのかも。
あるいは、ロシア系ロケットは破壊せずにそのまま落とすのが正常な破壊手順ではないかという指摘も。

この数年、ロシアはISS補給機のПрогресс=Progressや通信衛星Меридиан=Meridian(Молния=Molniyaの置き換え)、さらには火星探査機Фобос-Грунт=Phobos-Gruntなど失敗続き。

でもまあSeaLaunchはアメリカ、ロシア、ウクライナ、ノルウェーの多国籍企業(運営はボーイング)である上に、打ち上げるロケットはウクライナの設計、カリフォルニアで製造という状況を「ロシアのロケット」と言っていいのだろうかという疑問はある。旧ソ連系、ぐらいの表現が妥当か。

※この記事は以下のtwitterアカウントを参考にしました。
松浦晋也 @ShinyaMatsuura
柴田孔明 @koumeiShibata
牧野一憲 @kzmakino
大貫剛 @ohnuki_tsuyoshi

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