2011/11/25

9ヶ月で火星へ届く好奇心。

NASA火星探査車打ち上げへ、生命の可能性を調査

見たまえよ。
フロリダ州はケネディ宇宙センターのすぐ隣、ケープカナベラル空軍基地から。



現世代のAtlas Vは、元をたどればICBMという出自にもかかわらず一段目エンジンRD-180はロシア製。
今回の構成はペイロードフェアリングが5m径、固体ロケットブースターが4基、上段のセントールが1基の541だからロケット的には大して見どころはないかも。。。
早くCommon Core Booster背負ったHeavy構成を見たいね。H-IIAで計画されてたLoquid Rocket Boosterみたいなもんか?と思ったらGXロケットの一段目がAtlas Vと同じRD-180を使う計画だったんだってさ。

2011/11/14

抜群の安定感。Союз TMA-22

たとえ火星探査機が地球の重力圏脱出前に運用継続の危機に瀕しようと、そしてこんな雪の中でも難なく上がっていくソユーズ。



9:19ぐらいのとこをよく見てみよう。
リフトオフ後、約530秒で二段目燃焼終了、軌道船分離。周回軌道到達と同時に無重量状態になる瞬間、画面右上にぶら下がってたAngry Birdのマスコットがフワリと浮く。
こういうのをつけとくのは旧ソ連、ユーリィ・ガガーリンの初飛行以来の伝統で、発案者はガガーリン自身といわれている。複雑な計器を確認しなくても、あるいは体感に頼らずに無重量状態が一目瞭然。



こちらはマニア向け、ひとつ前のTMA-21が組立棟から射点まで鉄道で機体移動する映像。こんなものほんとに飛ぶのか?警察犬を連れた周辺警備も犬の散歩にしか見えないのどかさ。
途中4:00ぐらいのとこでこないだのZenitと同様に上段との接続部分が鉄骨むき出しスケルトン構造のとこが見えたり、ガガーリンの有人周回軌道50周年のロゴが見えたり、アボートタワーの構造がかなり高い解像度で見える貴重映像!

2011/11/12

Phobos Grunt, Down to Earth Soil?

現時点で軌道は確定、探査機はセーフモードでテレメトリは取得できたものの、地上局からのコマンドに応答しないみたい。

ロシア火星探査機、応答なし 地球落下の恐れも

火星の重力圏に到達したら、NASAが主導するDeep Space NetworkとESAのEuropean Space Operations Centreを使って24時間交信できる体制で運用の予定だったみたい。まだ今はロシアの地上局からしか通信できないから、こちらからコマンドを送信できる時間帯も制限される。

打ち上げ直後の時点で近地点高度207kmしかないから、空気抵抗でじわじわ高度が下がってきて、やがて大気圏再突入しちゃうよね。予定通りだったみたいだけど、そんな何日も残ることを想定してないからリブースト(再加速=高度を上げる)機能もないだろうし、電力供給も火星の重力圏内に到達してから、運用開始してからのシステムは使えない。
「きわめて毒性が強い」推進剤は非対称ジメチルヒドラジンと酸化剤に四酸化二窒素ですね。

Fregat

一度パーキング軌道に入るのは初期動作確認のためとかじゃなくて、もともとは2周目の途中で二段目に点火してアポジキック、より大きな楕円軌道に遷移、さらに推進剤の増槽を分離放棄して二段目二回目の点火で地球の重力圏を脱出する予定だった。

Lancement-Phobos-Grunt

この推進剤の増槽みたいなものが、中国の蛍火1号を搭載するために「政治的な理由で」設計変更された部分なのかも。

NORAD(北米防衛司令部)は、このまま二段目に点火も再加速もできなければ11月26日に大気圏に再突入する可能性を示唆している。

2011/11/09

Look on the bright side.

Phobos-Gruntのミッションについてもう少し詳しく。芳本美代子じゃねえぞ。それはみっちょんだ。
公式ではなさそうな紹介動画。



もともとLEOのパーキングに入れる予定だったんだな。音楽がむやみにかっこいい。Apocalypticaを思わせるプログレッシブ弦楽。

Russia Launches Mission to Mars Moon; Probe to Send Back Dust
in summer 2014, the capsule will slam into the Sary Shagan test range in Kazakhstan at 67 miles (107 kilometers) an hour, performing its landing without the aid of parachutes.
ナショジオの記事はときどき疑わしい。

「火星の衛星フォボスの土を採取したカプセルは2014年にカザフスタンのサリシャガン実験場にハードランディングする予定。その際の速度はパラシュートを用いずに時速107km程度である。」

どう考えてもケタが違う。
はやぶさのカプセルが大気圏再突入時に約12.2km/s=43,900km/hだった。地表に到達した時点での速度は不明だけど、逆噴射システムも持たないカプセルがパラシュートなしで100キロとかそういうオーダーまで減速できない感じがする。飛行機の高さから人間が自由落下しても300km/h超えるんだもの。

地球の周回軌道より外から減速しないで落ちてきたら事実上キネティック弾じゃねえか。まあ減速しないとは言ってないか。

Федеральное космическое агентство России, Russian Federal Space Agency

アメリカだとNASAに相当するロシア連邦宇宙局の公式発表。Google翻訳で露 -> 英。
要点は、
・軌道要素は完全に確定した
・通信できるのはモスクワ時間で23時以降、ロシアからの(電波的)可視圏に入ってから
・軌道要素と電力供給の点から、ソフトウェア改修&再点火は2週間以内に実行する必要

がんばれよ。
おまえもがんばれよ。

2011年、火星往復の旅。

ロシアの火星探査機Phobos-Gruntと相乗り(便乗?)で中国の探査機Yinghuo-1(蛍火1号)がバイコヌール宇宙基地からZenit-2SBで打ち上げられた。
理学ミッションは火星の衛星フォボスのサンプルリターン。



まずLaunch Vehicle Zenit-2SB(ロケット)について。
もともとEnergiaのLiquid Rocket Booster(液体推進剤ブースター)として開発された一段目エンジンRD-170に二段目を追加して単体で飛行できるように仕立てたのがZenit-2ファミリー共通の背景。ケロシン(RP-1)+液体酸素のロケットエンジンRD-171は4つの燃焼室とノズルで1基のターボポンプを共有する。現役の液体推進剤ロケットエンジンとしては世界最大の推力を持つ。
RD-171は基本的にはRD-170と同じ構造で、ノズルのジンバルを1軸から2軸に発展させたもの。
Zenit-2をSeaLaunchが上段ステージ(三段目)を追加・発展させたZenit-3SLからさらにフィードバックして、より先進的な仕様に改修されたのがZenit-2M/2SB/2SBLということらしい。
一部のサイトではZenit-2FGと表記されているが詳細不明。

4つのノズルから吹き出す、少し外向きに角度がついた炎が印象的。
いまどき固体推進剤ブースターを持たないロケットは新鮮。現役では韓国の羅老(一段目はロシアのアンガラ)ぐらいしか思いつかない。



…画質と被写体のバランスがおかしい。

一段目はリフトオフ後約11分で正常に燃焼終了、分離したものの、二段目の点火が3時間近く(地球2周分の時間?)経っても確認できない状態が続いた。南米上空で点火するシーケンスだったが、ロシアの地上追跡局はヨーロッパとアジアしかカバーしていないため、一時はテレメトリ受信できずトラッキングも見失った。
ブラジルの展望台が光学捕捉、その後ESA(欧州宇宙機関)のESTRACKが探査機からのpingを受信。続いてDeep Space NetworkのGoldstone Radar Observatory(電波天文台)も探査機がセーフモードに入っているというpingを受信。
現在、上段ロケットモーターとペイロードの分離状態は不明ながら、近地点(perigee) 207km 遠地点(apogee) 247kmのパーキング軌道を周回していることを確認。

Saturday, November 12, 2011 at 02:17 追記:近地点(perigee) 207km 遠地点(apogee) 347kmの間違いでした。

予定通りに上段に点火しなかったのはおそらく飛行制御ソフトウェアに原因があると思われ、その改修で正常な運用に復旧できるか調査中。ただし目的地が火星なのでお互いの公転軌道の関係であまり時間がない。タイムリミットは3日以内。
探査機本体やロケットモーターのハードウェア障害である可能性は低いが、もしそうだとしたら"The mission is OVER"だろう、というのが現時点でのまとめ。

ソースは以下。ロシア語が読めないので英語のサイトのみ。。。

Russian Zenit-2 launches Fobos-Grunt – Battle on to save mission

Russian Mars mission halted by glitch in low Earth orbit

あきらめるな。まだ家を出て玄関先で靴ひもがほどけたようなもんだ。
…ところで蛍火どこいった?

2011/11/07

天宮一号と神舟八号、交会と対接。

いささか旧聞ですが。

神舟8号、打ち上げ準備整う

中国、「神舟8号」の打ち上げは明日6時58分

神舟8号、11月1日に打ち上げ

ロケットは9月に天宮一号を上げたのと同じ長征2F。
その天宮一号が軌道上で待機しているので、接近rendezvousしてdockingまで無人で行う。今回は自律ではなく地上からの遠隔操作。

「神舟8号」、「天宮1号」と初の無人ドッキング
成功!アメリカ、ロシアに続き、宇宙空間で有人宇宙船のドッキング技術を持つ3番目の国となった。
ここもうちょっとなんとかならんかなぁ。
確かに神舟は同型他機で有人飛行の実績があるけども今回は無人の実験。ESAのATV(欧州補給機)や日本のHTV(こうのとり)は自律rendezvousからdockingまでの実績があり、与圧部を有人化する構想が進行中。

神舟はロシア(旧ソ連)のソユーズのデッドコピー…ではないにしろ、かなりの部分をお手本にしたつくり。天宮も同様にザーリャズヴェズダに相当するモジュールかな?

「神舟8号」と「天宮」の結合ユニット、円軌道に

リブーストも試すんですね。
NASAの歴史におけるジェミニ計画を(今のところ)無人で進めてるような感じ?

韓国専門家、中国の宇宙開発に「成功事例だけでは判断できない」=中国

言ってることは間違ってないと思うけど、とりあえず羅老(ナロ)ロケットを成功させてからな。
宇宙開発、ロケットや各種宇宙機も広義の工業製品であり、最終的に運の要素も排除できない。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」松浦静山
まあ、そういうことです。

本物を見るために。

国産最大ロケット、内部まで見られます…名古屋

H-IIBの展示は初めてだ。

H-IIBロケット(名古屋市科学館)

あ…一段目のLE-7Aが2本束ねてあるとこは見られないのね。種子島宇宙センターに保存されてる(施設見学ツアーを申し込むと見学できる)H-IIロケット7号機みたいな状態か。

宇宙ステーション『ミール』が苫小牧に

苫小牧にミールの実機があった!

ミール展示館(苫小牧市科学センター)

これはいつか見ねば。
遠いなー苫小牧。でも時間にしたら種子島の半分ぐらいだ。

あんまり関係ないけど苫小牧市長の名前がすごい。岩倉博文。よくばり!

2011/11/02

ソ連から来たアイツ。

届きました。20年の時を超えて、なぜかカナダから。
…税関の人も建築廃材にしか見えなかろうよ。

IMGP3142

石英ガラスを発泡成形した耐熱保護タイル。写真は4S202構成のH-IIAボールペンといっしょに。

持ってみた感じは軽石というよりもむしろ発泡スチロールぐらいの軽さ。でも叩くとカンカン硬い音がするフシギ物質。表面はアブレーション冷却からの連想で釉薬(うわぐすり)みたいにツルツルしてるのかと思ったら完全にツヤ消しのザラザラ。裏面(オービターに固定されてた側)は爪でひっかくとチョークみたいな白い粉がボロボロ崩れるくらい脆い材質。

こんなの貼りつけて宇宙に行こうとしてたんだなぁ。しかも人を乗せて。
で、こうなると欲が出てアメリカのスペースシャトルの同じものもほしくなってきたわけだが!(つづく?)